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医療機器:どんな仕組みで、検査や治療でどう使われているのか?

2021/09/05
 
医療機器
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医療ドラマで見たり、実際患者の立場でちらっと見たりはするが、どんな仕組みで動いているのか、ヒトの健康維持にどう役立ってくれているのか、あまり知らなかったりする。

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手術台

医療ドラマではかならず見るが、種類についてはあまり詳しくない方が多いと思うので、まとめてみよう。
患者さんが載るテーブルトップ、コラム (昇降部)、ベース (脚台) からなる。昇降、縦転、横転、スライド機能、背板屈折などができる。種類もいろいろある。

  • 汎用手術台:より多くの手術に、各科共通で使える。
  • 透視用:X線の透視範囲を大きく確保できる。
  • 整形外科用:骨折などで下肢牽引が必要な手術などを行いやすい。
  • 脳神経外科用:術者が椅子に座って顕微鏡下で手術できるようテーブルトップがより低くできる。
    頭蓋骨 (とうがいこつ) を切って脳に何かするなんて、目と指の性能がよくないとできるものではない。名誉教授とかになるとお歳のせいか指が震えるヒトが結構いらっしゃるからちと怖い・・・。

電気メス

切開と止血に用いる。高周波の電気を発生される本体と患部に接するプローブからなる。
切開モードでは高周波が連続的に出力され、止血モードでは断続的に出力される。

切開モードでは細胞内の水分を利用して細胞をピンポイントで破壊、切り分けていく。破壊された細胞の近隣の細胞は傷つかない。
止血モードではタンパク質の温度による変成を利用する。高温にならないようにして出血部の細胞を凝固させ、止血させる。
プローブにはモノポーラ (ひとつの電極) とバイポーラ (ふたつの電極) がある。バイポーラはもっぱら止血用である。
人体に高周波の電気が流れたらふつうは感電するが、これでは感電しない。電気の逃げ道として対極板を太ももなどに貼っている。

購入方法

主に3通りある。かなり高額な医療機器を導入するかどうかは経営判断としてかなり難しい。開業医の場合、これで破綻することもままある。

  • メーカーから医療機器商社を通して購入:支払い窓口をひとつにできるためこちらが主流。
  • メーカーから直接購入:CTやMRIなど高額なものは直取引の方が安くできる。
  • 委託販売モデル:在宅酸素療法などの医療サービスを受ける場合など。

血圧計

非観式と観血式がある。病院の外来に設置されているのは非観式の上腕式である。
電子血圧計はコロトコフ音方式、オシロメトリック方式、それを改良したダブルカフ式がある。家庭用はオシロメトリック方式、病院のはコロトコフ音方式かダブルカフ式である。
手首式は小型で使いやすいが正確に測定するには心臓の高さに合わせなければならない。上腕式はカフを巻くのが大変ということで今は腕を挿入するだけで測定できるようになっている。

手術室やICUでは血圧を連続モニターしなければならないので、観血式を用いる。生食を満たしたカニューレを動脈や静脈に留置し、血圧トランデューサーセンサーを接続する。

ドクターカー

2008年までは自治体が運営する救急車を利用して救命救急士と医師が乗り込むランデブー方式が主体だった。
道交法改正により「緊急自動車」として認められ、医療機関が直接運営できるようになった。
天候に左右されず、夜間も運用でき、特別な施設を必要としない。運用経費もあまりかからない。

ドクターヘリ

日本では岡山県と神奈川県から始まった。2007年にドクターヘリ法が成立、全国での配備が進み出した。救命救急センターを有する医療機関を基地病院とし、その敷地内に待機、要請があれば医療スタッフが搭乗して出動する。
渋滞する自動車の1/3以下の時間で現場に到着できる。山間部など道がない所にも行ける。しかし格納庫やペリポートなど設備が必要で維持費もかかる。操縦できる者も必要。

無影灯

手術中、術者の手元に影ができないように設計された機器。手術用照明灯。創傷面に影を作らず、かつ熱のない適切な光色が要求される。生体組織の判別には3,500~4,500Kが良い。ちなみに日中の太陽光は5,500Kである。
多灯式と単灯式がある。天井からつり下げられるタイプと移動式がある。従来はハロゲン電球だったが、現在は白色LEDになった。

カプセル内視鏡

長さ2.5㎝、直径1㎝のサイズに超小型カメラと送信機が組み込まれている。1秒間に2回撮影できる。
画像は腰につけた記録装置に保存される。口から飲むと4~5時間で便とともに排泄される。
まるで苦痛はなく、小腸の中を撮影することができる。従来の内視鏡では6~7mに及ぶ小腸が盲点になっていた。

内視鏡

消化器用、膀胱用、関節用など種類が豊富。みな形状が違う。最初は小型カメラだったが、その後光ファイバーとなり、アナログCCDからデジタルハイビジョンCCDと進化した。
外から撮影ではなく、体内に入れて患部を直に見ることができる。処置具を取り付ければポリペクトミーというポリープ切除もできる。ポリープの根元にスネアを引っかけ、括り、電気で焼き切るのである。
膀胱結石の破砕もできる。

カテーテル

血管に入るほど細く長いチューブ。対象は主に脳、心臓、各種のガン。足の付け根か腕の動脈から目標とする臓器の血管まで入れる。造影剤を注入するとレントゲンに黒く映り、診断ができる。
心筋梗塞では閉塞した冠動脈にステントを入れ拡げることができる。
ガン治療では直接抗ガン剤を注入することもできる。

CT

64列でも凄いが、今や320列まである。64列に比べ、スキャニングの時間は1/30、息止めが不要、被曝量は1/4に低減、造影剤は1/2で済む。高精度なデータ検出が可能で、実に美しい画像が撮れる。技術の進歩は素晴らしい!

PET (Positron Emission Tomography)

陽電子放射断層撮影。γ線を立体的に検出できるため体を断層撮影できる。ガン細胞は正常細胞の3~8倍もブドウ糖を消費する。そこで放射線を発するブドウ糖 (FDG) を体内に投与、ガン細胞にブドウ糖が集中して集まり、撮影できる。どんどん進化して現在はPET-MRIという被爆の少ない装置もある。

パルスオキシメーター

covid-19で大活躍している機器。指先や耳朶にプローブを装着するだけで血液中の酸素飽和度が測定できる。これが開発される前は動脈から採血した血液を分光分析して測定していた。しかしこれは患者さんに侵襲的で間欠的なため、急変には対応できなかった。
これは無侵襲、連続、リアルタイムに測定ができる。動脈血を測定した酸素飽和度をSaO2、パルスオキシメーターで測定したものをSpO2と表記する。
麻酔時やICUでの急性期患者さんの呼吸管理を目的として開発された。
NICU (Neonatal Intensive Care Unit:新生児集中治療室) では未熟児網膜症予防のための酸素レベル管理、在宅での睡眠時無呼吸症候群 (SAS)の検査などにも頻用されている。

人工呼吸器

これもcovid-19の重症患者さんで頻用されている。陽圧式。ヒトの呼吸と人工呼吸器を同調させるよう改良が進んできた。呼吸の代行ばかりでなく、呼吸の補助も行える。
口から気道にチューブが挿入され (侵襲的) 機器と肺の間に漏れがないように使用される。近年ではマスクを用いた呼吸管理 (非侵襲) も可能となり、口や鼻に固定するだけで使用できる。人体により優しくなった。
手術で全身麻酔するときや筋弛緩剤を使用するときも必要である。

人工心肺

手術などで心臓を止めたいときに使用される。心臓弁置換術や人工血管置換術など。静脈血や術中の出血を体外に出し、人工肺でガス交換、酸素化した血液をポンプで体内に戻す。中空糸 (多孔質ポリプロピレン) の性能が肝。
血液ポンプが停止すると死に直結するためバックアップ用バッテリーが内蔵されている。
PCPS (経皮的心肺補助) 装置は心肺停止患者さんの救命に使われる。

エコー

プローブ (探触子) を患者さんの体に当て、超音波を体内に送信、音響特性の異なる組織の境界面で反射、プローブに戻って来る。その反射エコーを受信、強さを明るさに変換して画面に表示する。周波数は3.5~5MHzが一般的だが、皮膚などでは20~30MHzとすることもある。
プローブと体表面の間に空気の層があると強い反射が起きて送受信がうまくいかないため、検査時にはゼリーを塗布するのである。臓器の位置や形、心臓の弁の動きまでわかる。またドップラー (ドプラ) 法を利用すれば血流速度を計測することもできる。
価格は安く小型で移動が容易、スペースも取らないが、経験が浅いと見逃しや誤診があり得る。
プローブは部位により使い分ける。腹部にはコンベックス型、循環器にはセクタ型、乳腺・甲状腺・頸動脈には高周波リニア型が用いられる。

カウンターショック

マニュアル式除細動器。心室細動や頻脈を取り除き秩序だった心拍を取り戻すための機器。AEDと違い、これは医師しか行えない。手術室、心臓カテーテル検査室、救急処置室、集中治療室など、あらゆる場所に設置される。
院外では救急車、ドクターヘリなどにも搭載される。保守管理も必要。

ウォッシャーディスインフェクター (W/D)

ジェット水流で医療機器を予洗、洗浄、濯ぎ、熱水処理、乾燥までしてくれる全自動洗浄器。血液が大量に付いていてもいいので、一次洗浄が不要となり、医療者の安全向上に役立つ。用手洗浄に比べて均一の洗浄度が期待できる。

高圧蒸気滅菌器

飽和蒸気を用いて微生物を殺滅してくれる機器。殺菌力が強いのに毒性が残らない。材料の劣化も起きにくい。
手術機器やリネン類など。年に一度の性能検査が義務づけられている。
熱や圧力に耐えられないものの滅菌には酸化エチレンガス、過酸化水素ガス、ホルムアルデヒドガスなどが用いられる。

ラジオ波焼灼療法器

主に肝臓ガンにラジオ波の電極を当て、壊死させる。超音波エコーやCTを使ってガンの部位に電極を挿入、先端を加熱する。経皮的で開腹の必要がないため体への負担が少ない。電極針の温度上昇が緩やかなため治療範囲が広い。

粒子線治療

水素イオン (陽子線) と炭素イオンが用いられる。粒子線が照射されると、ガン細胞の遺伝子の螺旋構造が壊れ、死滅する。その運動エネルギーにより人体に入る深さ(飛程)が決まり、その飛程の終端近くで線量がピークに達する。この現象をブラッグ・ピークという。
体表面からガン細胞だけを攻撃して死なせることができる。イオン源、線形加速器、シンクロトロン、高エネルギービーム輸送系、照射系、制御系からなる。現在日本でできる施設は24ヵ所ある。


施設の一覧はこちら→ https://www.antm.or.jp/05_treatment/04.html

病院の放射線管理

放射線管理区域を設定、責任者は院長である。放射能標識を掲げ、だれが見てもわかるようにする。黄色地に赤紫の丸と三葉マーク。ISOで定められたマークで、三葉はα線、ベータ線、γ線を意味する。
放射線科では医療法施行規則、電離放射線防止規則などに従い区域を管理する。設置するには文科大臣や都道府県知事に図面や基準に適合する証明書などを提出して許可を受けなければならない。労働安全法、電波法もクリアしていなければならない。
放射線を扱う職員はフィルム・バッチを付け個人の被曝量を測定する。扱う医師と放射線技師は常に白衣に付けることで被曝線量がわかる。放射線技師は最もリスクが高いはずだが、熟知していることと部屋がきちんとシールドされていることから、ほとんど被爆がないことがわかっている。
施設も年2回は外部業者により、漏洩線量の測定が行われる。目に見えないため管理がより重要である。

人工透析

ダイアライザを用いて血液から老廃物を濾し取る機器。
腎臓は毛細血管の塊である糸球体と尿細管が血液を濾過し、老廃物と余分な水分を尿として排出している。
高血糖が続くと濾過する働きが悪くなり、老廃物が体内に溜まり腎不全となる。
放置すると尿毒症、心臓や脳、消化器が機能しなくなり心停止や昏睡、死に至る。
ある程度進んでしまうと腎臓機能は元に戻らないため、人工透析しかなくなる。
週3回、毎回4時間もダイアライザーで血液を濾過しなければ命を繋げない。時間的損失はかなり大きい。
長年の透析により末梢動脈疾患 (PAD) になることもある。

腎臓病になりたくない方はこちらも→ 腎臓病:透析しなくて済むように、もっと食事に気をつけよう!

電子保存の三原則

電子カルテも今や欠かせないものとなってきた。医療従事者間で情報共有がしやすい。医用画像情報システムと連動させれば画像参照が可能で、患者さんに説明もしやすくなる。蓄積されたデータベースを経営分析や臨床研究に役立てることもできる。
使用に当たっては電子保存の三原則を満たすのが必須である。

  • 真正性:作成者を明確にし、書き換え、消去、混同、改竄を防止する。
  • 見読性:肉眼で容易に見られること。
  • 保存性:記録された情報が法令で定められた期間 (カルテなら5年) 、見読可能な状態で保存されること。

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