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科捜研の女:映画化の次はドラマ、どんな鑑定アイテムが出るのか?

2021/10/15
 
事件現場
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必ず犯人が捕まるのはドラマだから、と思っている方もいるかも知れませんが、それは違います!
今の鑑定技術で完全犯罪は成り立ちません。特に通り魔でなく、顔見知りである場合には。

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重罪事件は時効も撤廃されましたし。現場に何らの証拠も残さないというのはよほどのプロでないと無理ですから。
血液でさえ鼻から出たのか、お尻から出たのか、口から出たのか、わかるくらいですからね。

いよいよ10/14(木)の20:00からドラマ、シーズン21が始まりました。初回は2時間スペシャル。
マリコに警視庁、刑事指導連絡室への異動話が出るとか。
しかも推薦したのは元夫倉橋拓也(渡辺いっけい)!
この夫と離婚した設定を知らないので、回想シーンか何かで出てくるといいな~と思っています。

初の映画、ドラマに続き、吉住渉さんの絵で少女漫画化されるとか。
マリコの絵、すごく可愛いです!でも土門薫の絵は内藤さんとはちっとも似ていないです!
こちらは研究員の亜美ちゃんからの視点で展開するようです。第一話を元に。
番組公式ツイッターで見られるそうなので、ぜひ。
アニメについてはこちら→ https://post.tv-asahi.co.jp/post-166227/

追伸(9/9):映画、観て参りました!ダイエット菌の研究をしている科学者の設定でした。とにかくこれでもか、というくらい、関係者がフルキャスト出演、協力していました。チームマリコ、です。
今はやりのウイルスではなく、細菌がモチーフになっています。
まだ観ていない方もいらっしゃるので、内容はあまり書かないことにして・・・。
科捜研、法医学教室などの切り口から、出て来そうな単語を抜粋してみました。

敬称略:見どころは榊マリコ (沢口靖子) の父親 (小野武彦) 、マリコの元夫 (渡辺いっけい)、前回マリコにけんもほろろにふられた法医学部准教授 (野村宏伸) などが登場するところかと。
「離婚した」という設定は知っていたものの、夫がだれだったかは知りませんでした。


出て来た単語は脳浮腫髄液検査薬毒物検査Spring-8くらいでした。下にまとめています。↓

専門用語が多くて、知らずに見るとわかりにくいかも知れないので、予習しておくと更に楽しめること請け合いです。フィクションで良かった、と思えますしね。バイオテロなんかされたら避けようがありませんから。

見終えた後、おそらく詳しくない連れに説明してあげる (ポイントアップ↑) こともできますしね。
もちろん、コロナ対策につき、ひとりで集中して見るのもいいですが。

ついで情報:わたくしはイオンシネマで見ました。席が前後、左右空いていて、空調もいいのを使っているとか。
プラス500円でいい席にしたので、両側に荷物置き場とジャケット掛けがありました。
みなさまもおひとりか、ふたりくらいで行かれてみてはいかがでしょうか?
換気が心配でしたが、閉め切った空間でも強制換気される設備になっていて、安心できました。

★お食事中の方、死体の話が苦手な方は、一部ご注意ください。

劇場版のキャストについて詳しく知りたい方は公式HPへ→ https://kasouken-movie.com/

ここから科学捜査に活躍する最新技術、凄腕機器をご紹介していきます。

指紋鑑定、その悲しすぎる歴史!

イギリスの医師ヘンリー・フォールズ(1843~1930年)をご存じであろうか?涙なくしては語れない。
世界で一番に指紋が「万人不同」、「終生不変」であることから個人識別に役立つ、そして犯罪者の特定に役立つと思い、世界中の警察はもちろん、スコットランドヤードにも何度も提案したのに、毎度無視され、挙げ句ゴールトンの著書のせいでハーシェルに「先駆者」の名誉を横取りされてしまったのだ。貴族でなかったばっかりに。

ゴールトンは「遺伝学の父」と称され、ダーウィンのいとこである裕福な貴族である。貴族と平民は遺伝子からして違うはずだという思い込みから優生学を研究していた。その道すがら、インドの行政官であった、これも準男爵のハーシェルの指紋の研究を見つけ、自身の著書でハーシェルが指紋研究の先駆者であると書き記した。
フォールズは自分の名前のスペルもタイトル(ドクターなのにミスターと書かれていた!)間違っている、先駆者は自分であってハーシェルではないことを何度もNature誌に寄稿したが、世間からもゴールトンからも、その死後ハーシェルからもまったく相手にされなかった。

1894年、やっとイギリス政府が指紋を捜査の一助とすることに決定した。その後技術がどんどん進んで今のように裁判の証拠としても採用されるに至った。今では汗や皮脂からでも薬物常習性、性別、病歴などがわかるまでになった。

生体認証は指紋認証から今では虹彩認証、歩様認証、顔認証まで拡がってきた。元はといえば町医者フォールズ先生のおかげなのだ。
1984年になってやっと、指紋協会が彼の墓を建て直し、その墓碑に指紋の「先駆者」と刻んだ。
ヨーロッパは身分制がはっきりしている。貴族制度が廃れつつある現在でも、貴族と平民ではことばまで違うのだ。ドイツではひとこと話しただけで、貴族か否かわかるくらいだそうだ。まったく・・・。
その弊害がかくも気の毒な事態を招いてしまったのだ。科学者にとって「最初」か2番目かは大きく違うのだ。

島津製作所

この映画に高速液体クロマトグラフ「Nexeraシリーズ」、ガスクロマトグラフ質量分析計「GCMS-QP2020 NX」、フーリエ変換赤外分光光度計「IRTracer-100」を貸し出したそうである。
また島津理化は顕微鏡やドラフトチャンバーの貸し出しで協力したとか。本物の鑑定機器を使っているからこそ、大画面でも臨場感が損なわれることなく、映し出されるのであろう。

科捜研 (科学捜査研究所)

各都道府県にあり独占的に犯罪捜査のためのDNA鑑定を行う組織。科警研の指示に従いつつ都道府県ごとに依頼された分析を行うが、研究員に捜査権はない
法医学、心理学、文書、物理学、化学などの分野で20人ほどの研究員が配置され鑑定を行う。
DNA鑑定は法医学分野の仕事。科警研で研修を受けたスペシャリスト。
しかし実際には捜査に参加はしない。あんなに外出できないし。
同じサンプルならだれでも同じ結果を導き出せなくてはならない。科学は再現性を重んじる。
「再現性」と言うとき、書くとき、いつもSTAP細胞の一件を思い出す。

科警研(科学警察研究所)

警察庁の付属機関。科捜研の上部組織。偽造通貨、銃器の鑑定、専門的な研究も行っている。

法科学鑑定研究所

親子鑑定や遺言状の筆跡鑑定など、民事には警察が介入しないため、アメリカやイギリスには民間の鑑定機関がたくさん存在する。が、日本ではほんのいくつかがあるだけ。

SPring-8

兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の大型放射光施設である。その名はSuper Photon ring-8 GeV(80億電子ボルト)に由来する。所定の手続きを経て採択されればだれでも利用することができる施設。運営は理研。

しかし現在はcovid-19に関する研究をメインに行っている。ウイルス研究の経験が長く、またこの感染症の解明が喫緊の課題であるためである。
X線結晶構造解析(タンパク質を結晶にして、原子レベルで構造を調べる)で多くの発見をしてきた。

専門的に知りたい方はこちら→ http://www.spring8.or.jp/ja/

ALSライト:Alternative Light Sources

肉眼では見えない指紋を照らす可視光・赤外線・紫外線ライト。軽く触れただけでも皮脂に反応する。現場ではゴーグルをつけ余計なものが目に入らないようにして使う。
物質はどれでもある一定の波長の光を吸収し、違う波長で発光する性質を持っている。これを「ルミネッセンス」という。
ルミネッセンスとは、物質が電磁波や熱、摩擦などによりエネルギーを受け取って励起され、その受け取ったエネルギーを特定波長の光として放出する発光現象のこと。
鮮明な画像を得るには、特殊なカメラ(FUJIFILM USA S3 Pro UVIR Forensic Science Modelなど)が必要となる。法科学用一眼レフだが、日本では販売されていない。

ESDA2

メモ用紙などにフィルムを貼り放電、特殊なインクを振りかけると文字を浮かび上がらせることができる。
筆圧で紙のへこんだ部分(二重筆圧痕)に静電気で粉末を集める。

VSC: Video Spectral Comparator(ビデオ・スペクトル・コンパレータ)

文書偽造を見破る機械。インクに赤外線を当て、種類の違いを見分ける。

防犯カメラ

顔が映っていなくても歩容認証で人物の特定ができる。ヒトには歩幅、姿勢、腕の振り方など、歩き方にくせがあるものなのだ。マスクをしていても、個人を特定できる確率は96%である。
骨格認証できるカメラもある。

ディフェンダーX

ヒトの気持ちを読み解ける防犯カメラ。目に見えないヒトの振動を検知する。ヒトの精神は緊張やストレスで揺れるものなので、薬物所持や爆破テロ犯などを見抜くことができる。

薬物乱用事案

日本で最も多いのは覚醒剤。ドラマや時代劇でたまに見る、捜査官がぺろっと舐めるなんて危ないことは絶対しない!変色を伴う呈色反応を利用した予備検査をまずは行い、陽性と出たらGC-MSなどの機器で確認検査をする。
薬物検査キットA10では一度に10種類の薬物が検査できる。


予備検査は一般に尿を用いるが、唾液、毛髪、汗を検査することもある。尿からは使用後5日以内なら検出可能。毛髪は数年間遡ってわかる。1カ月に1cm伸びるため、分割して分析すると使用頻度、使用期間が推定できるのだ。
GC-MSとはガスクロマトグラフィー質量分析のこと。ナノグラム、つまり1/10億g単位でも検出可能。
揮発性毒物(青酸化合物、シンナーなど)も検査できる。
不揮発性毒物(ヒ素、アコニチンなど)の場合は高速液体クロマトグラフィー質量分析器を用いる。
合成麻薬など、続々と新薬(?)が出てきているため細心の注意と高い技術力が必要とされる。
火災現場の油成分や毒物鑑定にも使われる。

毒物の定義

「毒物および劇物取締法」で指定されている。毒性の強いものが毒物、それよりやや弱いものが劇物である。

マトリ

厚生労働省地方厚生局麻薬取締部のこと。鑑定室があり、検査や鑑定が行われている。
そのため薬剤師が半数を占める。特別司法警察官なので、拳銃などの武器携帯、強制捜査ができるなどの権限がある。

法歯科学(Forensic Odontology)

法医学の位置付けに近いが、主として法律上の諸問題を歯学の知識を持って解決、あるいはまた身元不明死体の個人識別を行うもの。歯や骨の形、歯科治療痕の所見から識別する。また歯に含まれる成分から年齢や性別等を推定することもできる場合がある。変死体や犯罪死体に関して身元がわかるのとわからないのとでは捜査が違ってくる。

また東日本大震災のように大量の死者が発生した際にも身元の確認が必要となる。法律上の問題としても人が死亡した場合、死亡届を提出して戸籍を抹消する必要があり、それによって相続も開始する。

解剖学教室

日本は法律がかなり厳しい。解剖は解剖学教室がある大学で、解剖学の教授が立ち会う前提でないと解剖が許可されない。

東京都監察医務院

上野正彦氏がいた所。一度講習会で伺ったことがある。
死体解剖保存法第8条に基づき、東京都23区内で発生したすべての不自然死について、死体の検案、解剖を行い、その死因を明らかにするのが仕事。
年間検案数は、14,023体、解剖数は2,073体 (平成30年) にもなる。
この検案数は、東京都23区内における全死亡者数の約17.5%に当たる。
残念ながら、京都にはない。監察医がいるのは東京23区、横浜市、名古屋市、大阪市、神戸市のみなので。
こう言っては身も蓋もないが、死体が何県で発見されたかによっては、殺人が自殺や事故として処理されてしまう可能性が高くなる。

監察医制度

地方自治体の都合により置けない県もある。予算的に置けない場合は知事の権限で県警と法医学教室と話し合い、変死事件1件当たり30万円とすれば、1県内で1年間の変死は50件程度ならば約1,500万円程度の出費で済む。
県民の治安維持のためにもなるのだが・・・。

法医学鑑定

大学の法医学教室と監察医の差は証拠品の有無。大学での解剖では被害者の衣服はすべて脱がされる。
対して監察医は現場に行き、着衣なども調べる。それから裸にして検死、解剖を行う。

警察医

警察の嘱託医。監察医のいない地区で検死に当たる開業医。
所轄の警察官と留置人の健康管理が仕事なので変死体を見慣れていない先生も多い。

検死

監察医務院に医学的な検死の依頼が入る。5大都市(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸)にしかない。
それ以外の地域では警察嘱託医の開業医が検死をするが、 法医学の専門家ではないため、犯罪性を見逃すおそれが多分にある。

系統解剖(正常解剖)

人体の構造を精密に決定するため、医学生・歯学生が解剖学者の指導の元、解剖学の実習として行う。
ホルマリン固定された後、アルコールで抜く。おかげで実習の間、2年ほどは腐らない。
死体は切り刻まれ、特別の焼却炉で焼かれて年に一度の法要が営まれる。
昔は無縁仏が使われていたが、現在は本人の意思と遺族の同意を得て行われる。清潔で安全なご遺体。
現在では95%が献体による。ありがとうございます。

病理解剖

死体解剖保存法に基づき、病理学者が病死に至った原因を明らかにするために行う。必要な標本を採取後、遺体は遺族に返還される。結果は医師たちに共有・検討され、臨床の現場に反映される。
費用は1体当たり約25万円かかる (古いデータ) が健康保険は適用されないため、医療機関自らが負担することになる。

法医解剖

いわゆる司法解剖。警察の依頼で、刑法との絡みと死因の因果関係を明らかにするために行う。
遺族の承諾は不要。不潔で危険な遺体であることが多い。日数が経過するほど傷むので。
法医学者というのは相手がご遺体なので訴えられるおそれはないが、腐乱してかなりにおう、うじが湧いている、場合によっては病原菌感染のリスクもあるなど、結構危険なお仕事で、ドラマで見るほど綺麗でも気取ってもいられない汚れ仕事である。だからなり手が少ないのだ。

行政解剖

死体解剖保存法 (1949年制定) 第8条に基づき、監察医がいる地域は異常死体の死因究明のために行われる。検案しても死因が明らかでないとき、解剖できる。
監察医のいない地域では遺族の承諾のもと (事件性はないから承諾が要る) 法医解剖を行う。
自治体からの補助が若干ある。
他に検疫法第13条(伝染病)、食品衛生法第28条(食中毒)による解剖がある。

薬毒物検査

睡眠薬や覚醒剤など、何かわかっている場合には検査キットを使うが、何が出るかわからないときは分光光度計、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどを用いて調べる。何せ毒といってもいろいろあるので、無作為に絞り込むのは大変である。

脳浮腫(brain edema)

頭蓋内圧亢進。脳は柔らかいが、頭蓋骨(とうがいこつ)は硬いため、余計な水分が集まれば当然きつくなり、激しい頭痛や嘔吐をもよおすことになる。

親子鑑定

大学の法医学教室で鑑定されるのは年間300件程。物理的に目一杯。1件当たり5万円前後、約2ヵ月かかる。

DNA鑑定

第1染色体のMCT118を使う。血液なら2mm2以上の大きさか1μ㍑以上の量で6カ月以内のもの、精液なら3mm2以上の大きさで1年以内のもの、身体組織なら2mm2以上で腐敗が少ないものが必要。
塩基配列の繰り返しパターンで見る。人種や地域での頻度分布を%で出すので、アメリカのような多民族国家では判定能力が疑われるが、日本の田舎などは人の出入りが少ないので、かなり信用できる。犯人検挙の材料になる。

微量の血痕などの鑑定のため含まれるDNAを増幅する。細胞内の核には核DNAがあるため細胞を含む資料が好ましい。生きているヒトなら口腔粘膜が採取しやすい。しかし赤血球の成熟した細胞には核のDNAはほとんど含まれていない。
白骨化している場合は歯の象牙質にDNAが多く含まれており、細菌の汚染も少ないため最適。
エナメル質は最後まで残るがDNAの抽出は期待できない。歯髄は最も多く含むが、細菌が繁殖しやすいため新しいものに限る。

毛髪は力を入れて抜いた毛根部からはDNAを抽出できるものの、自然脱毛したものは良いサンプルとはいえない。
ミトコンドリアDNAは毛根部からもよく回収できる。
白骨のDNAの残り具合は場所によってまちまち。南より北、低地より高地、湿潤より乾燥地、高温より低温、地表より地中、酸性よりアルカリ性土壌、淡水より海水中の方が保存性が良い。

95℃に加熱すると2重螺旋が1本鎖に分かれる。55~60℃に保持して増幅したい領域に対応するプライマーを入れてDNA鎖と会合させ (アニーリング)、72℃でDNA鎖の複製を行う。
試料を入れて温度を調節するだけで目的領域のDNA鎖だけを特異的に増幅できるのがPCR (ポリメラーゼ・チェーン・リアクション) という。極微量のDNAを2時間で100万倍に増幅できる技術で犯罪捜査、親子鑑定、農産物の産地特定 (産地偽装を見破る) 等に利用されている。

個々のSTRの識別能力が高いため母親のサンプルがなくとも父子の分だけでかなり高い確率で父権肯定確率が得られる。現在日本のDNA鑑定は科警研科捜研、大学の法医学教室法歯学教室民間のDNA鑑定会社だけで行われている。
微生物や動植物のDNA鑑定は農水省の研究機関、大学の農学部、民間会社で行われている。

死亡診断書

死ぬ前24時間以内に医師にかかっていないと、死体検案書となる。死因が判然としない場合、医師は交付を断ることができる。検察医に検案書を書いてもらうとなると疑惑を持たれる。

死体 (身元が判明したらご遺体)

下腹部の右(虫垂のあたり)の皮膚が緑色に変わる。次にガスの圧力で内臓や胎児が押し出され、後に液化していく。まず眼、脳、胃、肝臓、最後に子宮。腐敗がかなり進んでも、性別は見分けられる。骨盤が違うから。

自己融解と腐敗が起こる。死後数時間で胃酸が胃や食道を食い破る。血液はバクテリアの肥沃な海。血管や細胞内でガスが発生する。死後12~18時間で体はメタンガスで2~3倍に膨らむ。分解が進むと、皮膚は土気色から紫色、黒へと変わり、メタンの圧力で位置のずれた器管は下腹部から押し出され、悪臭を放つ液体が出る。酪酸から成るこれが死臭。皮膚はずる剥けになり、爪は脱落する。法医学者はこういったご遺体を毎日何体も見ることになる。
「美しく死ぬ」なんて妄想以外の何物でもない!

死後硬直

筋肉細胞中に一定以上のATPがあると軟らかいが、これが減少すると収縮蛋白(アクチンとミオシン)が結合してアクトミオシンに変化し、収縮状態になる。死ぬと酸素の供給が止まるので、ATPの生産も止まる。

死斑

鮮桃紅色調になっていればまず一酸化炭素中毒か凍死を疑う。

PCR (polymerase chain reaction) 法

1983年アメリカの生化学者キャリー・マリス博士により発明された。ありがとう!
ポリメラーゼとは単一の塩基を繋ぎ合わせて長い鎖を作る働きをする酵素。DNAの塩基を繋いで長い鎖を作るDNAポリメラーゼを用いて指定のDNAを増幅、短時間で同じ配列のコピーを大量に作る方法。
1本鎖のプライマーも必要。これなくして現在の分子生物学は成り立たない。

マリス博士は1993年にノーベル化学賞を受賞した。PCR法の機器に関する特許はABI社、試薬の特許はロシュ社が持っていた。
純粋な実験や研究に対しては特許使用料は免除されていたため応用分野は急速に拡大した。
ただし日本のDNA鑑定の普及には特許料の問題がつきまとっていた。実験、研究以外の事業には特許料支払い義務があった。科学捜査のDNA鑑定が事業かどうかは微妙だが、実験や研究でもない。

日本ではABI社の市販判定用キットをメーカーの定めたプロトコル通りに使用した場合に限り特例として科学捜査は特許料免除となった。
当時はSTR (短鎖縦列反復配列) の多型を用いて判定するものでキットの価格は200検体分で60万円もした。
ひとつの資料に2回は使うので1キットでできるのは100検体以下となる。

PCR法の基本特許は2006年に切れたのに日本に競争相手になる会社もないことからABI社は周辺特許も主張して値上がりしている。国はこういうのに予算をもっと回すべきではないのか?

DNAやPCR法にも興味ある方はこちら→ DNA:PCR法、HLA、遺伝子、ゲノム、染色体などについてざっくりご説明。

青酸カリ

ドラマで毒殺と言えばこれかストリキニーネだろう。50kgのヒトをたった200㎎で殺せるくらいの毒性。
が、自然発生することもある。
ベルリンのフンボルト大学法医学教室のプロコップ教授が発見。血液を4℃で保管しておくと、数日後には青酸が致死量位の血中レベルまで発生する。20℃や30℃では発生しない。真菌類の関与が考えられる。

毒殺かどうかは胃内容に青酸があるか否かで判定できる。青酸配糖体は結構ありふれた物質である。梅干しの種にも入っているくらい。
しかし、ふぐ毒(C121993 )は青酸カリの800倍も毒性が強い。
ボツリヌス菌に至ってはそのフグ毒の1,000倍もある。自然、恐るべし!

筆跡鑑定

調べたい筆跡と対照とする筆跡が同じ文字で比べる。同じ文字がない場合、漢字なら偏や旁で同じものを見つけ、平仮名の一部が似ているかどうかで比べることになるが、確度は落ちる。止め、はらい、転折部など、その人の常同性 (書き方の癖) を掴むことが重要。また経年変化が問題となる。
子どものときは下手でもおとなになると経験を積んでうまくなり、老人になると目が悪くなったり手が不自由になったりしてまた下手になる。経験がものをいう職人芸といえる。

警察協力受難者協会 (ドラマ上の名称)

正式には公益財団法人警察協会という。警察活動に協力や援助をしたために被災した人 (警察協力殉難者)、また警察業務の執行に当たり災害を受けた警察職員やその遺族に対する救済援護を行う団体。
弔慰金、援助金、見舞金の贈呈をしている。

BSL (biosafety level) 4

法令用語では「特定一種病原体等所持施設」 という。

バイオ・セーフティ・レベル4の施設。レベルは4種類あり、それぞれ扱えるウイルスのレベルが決められている。

  • レベル1:病気を起こす可能性が低い微生物など。
  • レベル2:重篤な事態には至らないものの、感染を引き起こすインフルエンザウイルスなど。
  • レベル3:重篤な感染を引き起こすが、ヒトからヒトへは伝染せず、治療法も確立された狂犬病ウイルスなど。
  • レベル4:生死にかかわる重篤な事態となり、ヒトからヒトへ感染し、治療法や予防法が確立されていないエボラウイルスの他、マールブルグウイルス、天然痘ウイルスなども実験施設内に完全に封じ込めて取り扱うことができる。

この「バイオセーフティレベル」は世界共通で、研究や実験にはそれぞれのレベルに応じた設備が必要となる。
日本では、封じ込め実験室となるBSL-3に対応している施設が全国に12ヵ所ある。
最高度の安全実験施設であるBSL-4に対応している施設は、東京都武蔵村山市にある国立感染症研究所・村山庁舎と、茨城県つくば市にある理化学研究所・筑波研究所の2ヵ所のみ。

運用は許可されたものの長らく周辺住民の不安による反対でレベル3の運用に留まっていた。
2014年、エボラ出血熱が大流行した際、G7の中で唯一、日本だけがレベル4の施設が稼働していなかった。
世界中がエボラのパンデミックに晒される中、感染症対策で後れを取っていた日本にレベル4の稼働は喫緊の課題となった。2015年8月、不安が残るものの住民の合意形成が図られ、国立感染症研究所が国内初のレベル4の指定を受けた。
長崎大学も指定を受けるべく準備をしているようである。

「漏れるのではないか?」と心配な方はこちらを→ https://www.niid.go.jp/niid/images/meeting/murayama-c/20191106-bsl4qa-2.pdf

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