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ガン治療最前線:抗ガン剤の種類、効く理由、関連用語をおさらい。

2021/09/23
 
一週間分の処方薬
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今や日本人のふたりにひとりがガンになる時代!いつだれがなってもおかしくない。
ガン以外で死亡したヒトも解剖してみると殆どのヒトに微少ガンが見つかるという。ガン細胞は元はヒトの健康な細胞である。それが紫外線や何らかの発ガン物質で遺伝子が傷ついてガン化し、増殖してしまうのだ。

ならばなる前に知っておこう。医師と意思の疎通ができるように。
「説明聞いてもわからない」、「言いたいことが伝わらない」では何かと不自由だし、治療法を自分で選択しなければならない場合も出てくる。そもそも痛いからならないに越したことはない。

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徳川家康は「鯛の天ぷら」で体を壊したという説があるが、実は胃ガンで死亡した。天ぷらを食したのは1月、死亡したのは4月なので。それに吐血、黒色便、腹部に大きな腫れ物があったということだから。

鷹狩りを好み、一生の間に1,000回以上は行ったらしい。鷹はあまり距離を飛ばないので獲物のそばまでヒトが連れて行かなきゃならないのだ。故にすごい運動量である。
また和剤局方で学んだ漢方薬を自分で調合し、食事も麦飯や味噌汁✿、魚を食した健康オタクの家康様でもガンには勝てなかったのだ。

✿駿府は八丁味噌の産地。八丁味噌は豆100%の味噌なので、他の麦や米の味噌よりはるかにタンパク質が多い。
 わたくしも見習って、八丁味噌を使っております、はい。

また伊達政宗は喫煙により食道ガンで死亡した。当時たばこは健康のためにいいとされていたため、健康を気遣って毎日3回、キセルで吸っていたのだ。今でも愛用のキセル数本が残っている。

毛利元就も食道ガンであった。しかし曲直瀬道三(まなせどうさん)により、ガン発覚から3年以上も生き延びた。
手術もできず抗ガン剤も放射線治療もない時代、すごいことである。
曲直瀬道三は当代随一の名医で弟子は800人もいたとか。「養生俳諧」というものに長生きの秘訣を著した。
現代でも十分通用する理論である。


脳腫瘍に新しい薬が許可された。ヘルペスウイルスを使ったものだそう。詳しくは「新製品」に↓。

大鵬薬品工業の 膵臓ガン・胃ガンの治療薬 、アブラキサン(パクリタキセル)がしばらく供給停止になるとのこと。何と40,000人/年も使用している抗ガン剤である。早く供給が戻るといいのだが(8/30)。

JAMA Oncologyの8/19オンライン版によれば、ある種の抗ガン剤投与を受けている患者さんはcovid-19の感染率が有意に低かった!とのこと。
mTOR/PI3K阻害薬のエベロリムス、テムシロリムス、alpelisib、代謝拮抗薬のデシタビン、ゲムシタビン、有糸分裂阻害薬のカバジタキセル、キナーゼ阻害薬であるダサチニブ、クリゾチニブなどである(9/5)。

ガンの種類

  • 固形がん:上皮細胞に塊を作る悪性腫瘍。
  • 血液腫瘍:白血病や悪性リンパ腫などの血液のガン。
  • 肉腫:筋肉や骨などの非上皮細胞にできる腫瘍。

ガンの原因

老化、遺伝子の異常による。新陳代謝している正常細胞の遺伝子が傷つく (イニシエーション) と前ガン細胞ができ、異常に増殖 (プロモーション) することでガン化し臓器などを圧迫したり、よくない物質を産生したりする。
傷つく理由は遺伝的素因、老化、喫煙、農薬や添加物、粉塵、紫外線、多すぎる放射線など。放射線は宇宙からも降り注いでいるためゼロにはできない。

他の医学用語が知りたい方はこちらにも→ 医学用語:コロナに限らず、情報を理解するには多少の知識が必要です。

ガンになりやすいヒトっているの?

いる。糖尿病の既往があるとリスクは上昇する。また慢性炎症も高リスクである。潰瘍性大腸炎から大腸ガン、慢性胆嚢炎から胆嚢ガンなど。炎症とは組織の破壊と再生の繰り返しであるため、その過程で誤りが出る確率が高い。「バラが咲いた」が「バカが咲いた」になるようなものである。普通はアポトーシスなどでその誤りは取り消されるが、体が普通でない場合や免疫力が落ちているときはそのままスルーされてしまう。健常者でも毎日数個のガン細胞ができては消されている。それが消し損なわれるといずれガン発症となるのである。

また飲酒は大腸ガン、食道ガンに、肥満は大腸ガン、乳ガン、運動不足は大腸ガンに因果関係があることは確実視されている。もちろん喫煙は大半のガンに関与している。
別記事でも書いたが、ヒトはちくわのようなものなので、口から肛門まで一繋がりになっている。腸は畳まれているものの、吸った煙は口腔粘膜、咽頭、喉頭、気管支、肺から吸収され、尿や便になって排泄されるまでくまなく全身を巡るのである。ニトロソアミンやカドミウムなど200種類以上の毒物がどこの細胞に取り憑いてガン化しても不思議はないわけである。

新製品

2021年8月4日、中医協により第一三共のテセルパツレブ(製品名デリタクト注)が製造販売承認が得られた。
先がけ審査指定制度✿で許可された。世界初のガン治療用ウイルスである。
第一三共と東京大学医科学研究所附属病院の脳腫瘍外科教授、藤堂具紀(とうどうともき)氏らのグループと共同開発した口唇ヘルペスウイルス(G47デルタ)を用いた悪性神経膠腫(グリオーマ)✿の治療薬である。
正常細胞は傷つけず、 ガン細胞だけに取り付き増殖、破壊するように人為的に設計されたもの。脳腫瘍に限らず、すべての固形ガンに同じメカニズムが働くとのことで、今後オプジーボのように適応が拡がるかも知れない。

✿悪性神経膠腫:グリア細胞から発生する原発性脳腫瘍のうちで悪性度が高いグレード3、4をさす。国罹患者罹患者は年間2,800人ほど。

✿先がけ審査指定制度:厚労省の「先駆けパッケージ戦略」の重点施策のひとつ。生命に重大な影響がある重篤な疾患に対して有効性が期待される医薬品などを指定することで、日本の患者に最先端の治療薬をいち早く提供することを目的とする。全症例を対象として7年以内の再確認が条件となっている。

神経膠芽腫(GBM)

通称グリブラ。グリオブラストーマ。脳腫瘍の中で最も多く、平均余命は診断時から18カ月、5年生存率は10%と 予後も悪い。 MRIで見つかり、わずか2週間で倍の大きさになるほど進行が早い。ガドリニウム造影剤で白く映る。これまでは切除したのち、放射線治療とテモゾロマイド投与しか治療法がなかった。脳は部位により、全部を取り切れないことも多々ある。

原発不明ガン

原発巣がわからず転移巣で発見されたガン。全ガン死亡の2%。予後不良で5年生存率は10%前後といわれる。
しかし原発巣を探すことに時間を費やすことより、まずは病状の進行を抑制するのが先である。

遺伝子で薬が効くかどうかわかるって本当なの?

肺腺ガンでEGFR遺伝子変異が陽性ならゲフィチニブやエルロチニブが、ALK融合遺伝子が陽性ならクリゾチニブやアレクチニブが奏効するとわかる。
大腸ガンではKRAS遺伝子に変異があればセツキシマブやパニツムマブは奏効しない。
また血中UGT1A1遺伝子多型を見ればイリノテカンの副作用が予測できる。

ALDH2 (アセトアルデヒド・デヒドロゲナーゼ2)

体内でアルコールを分解するとできるアセトアルデヒドを分解する酵素。日本人の4% (わたくし含め) はこれが完全欠損、40%が部分欠損しているため、飲酒で食道ガンになりやすい。飲んで顔が赤くなるタイプのヒトはアセトアルデヒドが高濃度に体に残ってしまう体質なので、飲まない方が身のためである。一方欧米人はほとんど欠損がいないそうである。部分欠損のヒトは無理すれば飲めるが、健康のためには好ましくない。
また飲めないヒトに無理に酒を勧めたり強要したりするのは悪気がなくともある意味犯罪行為である。

ピロリ菌除菌

ピロリ菌感染は胃ガンリスクを有意に高めるため、家族歴 (親族に胃ガン患者がいた等) がある方は除菌した方がいいかも知れない。2種類の抗菌薬と1種類の胃酸分泌抑制薬を1日2回、1週間服用する。今は保険適用になった。
ピロリ菌感染の有無を調べたのち、除菌する、しないはあなたの決断である。

肝炎ウイルス

B型、C型肝炎ウイルスに感染することは慢性肝炎から肝臓ガンとなるリスクが高い。B型肝炎は出産時のワクチンや免疫グロブリンの投与で予防され、C型は2015年に経口治療薬が承認されて副作用もなく治癒するようになった。

抗ガン剤の種類

  • 代謝拮抗薬:DNAを合成する材料である核酸の構造式の一部を別のものに置き換えた「核酸もどき」でガン細胞の増殖を邪魔する薬。5-FU (フルオロウラシル) 、メトトレキサートなど。
  • トポイソメラーゼ阻害薬:DNAの螺旋状の鎖を修復する酵素、トポイソメラーゼを阻害してダメージを与える薬。複製するには一度鎖を切って真っ直ぐにし、また繋ぎ直さねばならないが、捻れたままではそれができなくなるのでガン細胞は増殖できなくなるのである。イリノテカンなど。
  • プラチナ製剤:DNAの日本鎖が解けるのを邪魔する薬。細胞周期のS期に作用する。シスプラチンのように~プラチンというのはみなプラチナ製剤と思って間違いない。
  • アルキル化薬:DNAの間に架橋して分裂を阻止する薬。細胞周期に関係なく作用する。シクロフォスファミドなど。
  • 抗腫瘍性抗生物質:DNAやRNAの合成を阻害してガン細胞を死滅させる。ブレオマイシンなど。
  • 微小管阻害薬:細胞分裂そのものを邪魔する薬。細胞分裂には微小管という糸が伸びる必要があるが、それを邪魔する薬。ビンクリスチンパクリタキセルなど。

抗ガン剤の副作用はなぜ起きるの?

残念ながらガン細胞だけではなく、正常な細胞にも効いてしまうため。特に細胞増殖が盛んな骨髄細胞、毛母細胞、口腔粘膜、消化管粘上皮に強い細胞増殖抑制作用を及ぼすため、白血球減少、脱毛、口内炎、下痢などを起こしてしまうのである。

過敏症

  • アナフィラキシー:抗ガン剤投与の場合30分以内に発現する。掻痒感、発疹、呼吸困難、血圧低下など。
  • インフュージョン・リアクション:分子標的薬投与中~投与後24時間以内に発症する。

分子標的薬

ガン細胞のみを叩き、正常な細胞は傷つけないというありがた~い薬剤。ガン細胞の増殖のキーとなる分子を制御する。ガン細胞の増殖に関わる遺伝子 (ドライバー遺伝子) が決まっているならそれを活性化させなければいいことになる。
週単位の投与で腫瘍が縮小、消失する。モノクローナル抗体、阻害薬など。トラスツズマブゲフィチニブなど。
他の抗ガン剤のように脱毛や悪心、嘔吐はないが、手足症候群などの皮膚障害はある。
どんな薬でも、効果があれば副作用もある。副作用が強く出たら量を減らすか、種類を変えるかすることになる。
遠慮なく主治医に言おう!あたなのつらさはあなたにしかわからないのだから。

ニボルマブ (商品名がオプジーボ)

免疫チェックポイント阻害薬のひとつ。2014年悪性黒色腫(メラノーマ)に効くとわかり世界に先がけて日本で承認された。続いて2015年切除不能な進行・再発非小細胞肺ガンでも承認、2016年には根治切除不能または難治性のホジキンリンパ腫にも保険適用された。その後頭頸部ガンでも承認された。
何が凄いかって、約30%の確率で進行ガンが完治する!ということ。まあ副作用として免疫活性化するため劇症I型糖尿病などの自己免疫疾患に似た病気が出ることがあるが。また値下げされたとはいえ、未だに薬価がべらぼうに高い!

オピオイド

オピウム(アヘン)とオイド(~のようなもの)が語源。麻薬性鎮痛薬。医療用麻薬。モルヒネオキシコドンフェンタニルなど。オピオイド受容体に作用してカルシウムチャネルの働きを抑制、痛みの元となる物質の放出を抑えることで鎮痛作用を示す。モルヒネはアヘンから抽出された。
オピオイド受容体にはμ(ミュー)、κ(カッパ)、δ(デルタ)の3種類のサブタイプがあるが、オピオイドはμ型を介して作用する。しかし胃腸の蠕動を減らすため便秘、縮瞳、徐脈などが起こり、ときに呼吸抑制も生じることがある。
そのためオピオイド投与時には下剤や消化管運動促進薬などが併用される。
依存性を心配される患者さんも多いが、痛みのある状態で服用しても依存は起きない。
なぜなら、κ受容体にはμ受容体とδ受容体を抑制して依存形成しない働きがある。痛みがある状態ではκ受容体が強く働いているためオピオイド投与でほどよくバランスが取れるのである。
もちろん痛みもないのに使用すれば (娯楽として?) 依存は起きる。何も末期に使うばかりではない。ガンによる痛みがひどければいつでも使っていいのである。もちろん処方薬であるが。

在宅での看取り

化学療法の一部が外来でも可能となったため、家族の協力があれば可能となる。終末期を在宅で過ごす、看取りを行うこともできる。ただし患者本人、同居の家族、医療者が共通認識を持つ必要がある。
急変時に蘇生術や特別な延命措置をしない ( DNAR: do not attempt resuscitation ) という意思表示や精神的なケアも必要となってくる。希望する患者さんは多いが、死期を病院で迎える方の方が圧倒的である。

グリーフケア

看取りの後に家族に行われるサポート。griefとは「深い悲しみ」のこと。身近な人の死というものは乗り越えるのが大変である。

PET-CT (Positron Emission Tomography-CT)

放射性同位元素の18F (フッ素18) で標識したブドウ糖を静脈内注射し、糖代謝が活発な腫瘍組織にその標識ブドウ糖が集積されるのを応用した画像検査。全員を1回の検査で探索できるのがメリット。
しかし元々糖代謝の活発な脳と、排泄路である腎盂、尿管、膀胱ではうまく判定できない。
ガンと確定診断が出てからでないと保険診療にはならない。

PS (performance status)

全身状態のこと。これが悪いと化学療法 (抗ガン剤治療など) は受けられない。カルノフスキー指数が用いられることもある。

治療法

  • 外科手術:病変部を切除する方法。固形ガンで転移がなければ最も確実、長期予後が期待できる方法である。ミニ切開、内視鏡手術、ロボット手術 (ダヴィンチなど) などより体への侵襲が少ない方法が開発されてきた。腹腔鏡・内視鏡合同手術なども限られた施設で行われている。胃ガン、大腸ガン、乳ガンで多く、肝臓ガン、膵臓ガンでは少ない。
  • 薬物治療:抗ガン剤、分子標的薬、ホルモン薬などを投与する方法。転移しているガンに向く。しかしPSが良好で肝臓や腎臓の機能が保たれているヒトでないとできない。解毒は薬によって肝臓か腎臓で行われるからである。
    外科手術の前に行われるのを「術前化学療法」という。腫瘍を縮小させ、手術で切り取る部位を小さくできれば、臓器をより大きく残せるため。特に女性の乳房などは内臓より見てわかるものなので、残せるならそれに越したことはない。
  • 放射線療法:放射線照射でガン細胞のDNAに障害を与え、腫瘍を壊死させる。口腔ガン、頭頚部ガン、肺ガン、食道ガン、子宮頚ガンなどに多くなされる。胃ガンや大腸ガンにはあまり効果がない。
    またガンの骨転移による疼痛の緩和のため用いられることがある。大量の医療用麻薬が不必要になるほど改善する例もある。放射線皮膚炎に注意する。放射線療法については後日別記事で最新情報をご紹介予定!
  • 内視鏡治療:内視鏡で臓器の内側からガンを切除する治療法。皮膚切開がないため体への侵襲が少なく回復も早いのがメリット。早期の胃ガン、大腸ガンが適応となる。2cm以下で潰瘍のない分化型粘膜内ガンなど。スネアを引っかけ高周波電流で切除する方法と、ITナイフで剥ぎ取る方法がある。

骨髄抑制

抗ガン剤の副作用といえばまずはこれである。細胞分裂が活発な所ほど影響を受けやすい。造血細胞に作用するせいで白血球、赤血球、血小板などが作り出せなくなる。これが重篤になると起きるのが発熱性好中球減少症
ヘモグロビンが減少した場合には貧血、血小板が減少した場合には出血傾向となり、輸血が必要となる。

ところで、好中球って何だっけ?もう忘れた。

白血球の仲間。細菌などからヒトを守る。減少すれば易感染状態 (病気に罹り易い) になる。多くの抗ガン剤では投与から7~14日後に好中球の値が最低値 (nadir) となり、好発する。コロニー刺激因子を投与する。ジーラスタは血中半減期が長く、1回の投与で3週間効果が持続するため、3週間ごとに繰り返すレジメンとサイクルが合致して医療者も患者も楽である。

悪心・嘔吐はなぜ必発なの?

抗ガン剤投与で腸管の細胞からセロトニンが出る。これが脳幹の化学受容器引金帯を刺激、迷走神経を介して脳幹の嘔吐中枢を刺激するため。
ならば、セロトニンを抑制すればいいじゃないか、というこで、セロトニン受容体のうち嘔吐に関係する5-HT3受容体を阻害する薬を制吐薬とすることにした。
さらにデキサメサドンの注射や内服薬も使うとより抑制できるようになり、抗ガン剤=悪心・嘔吐の式は以前より成り立ちにくくなってきている。

下痢や便秘になるのは何故?まるで逆なのに・・・。

  • 下痢:ある種の抗ガン剤が副交感神経を刺激することで腸の蠕動運動が亢進、あるいは腸管粘膜を障害するために起きる。抗コリン薬の投与、整腸薬、半夏瀉心湯 (はんげしゃしんとう) などが投与される。
    また脱水予防のため電解質を含む水分を摂ることも望ましい。
  • 便秘:ある種の抗ガン剤で末梢神経障害や自律神経障害により腸の蠕動運動が妨げられるため。
    また支持療法で用いられた制吐薬や食事量・運動量の低下が原因となることもある。
    水分補給、緩下薬の投与が有効。酸化マグネシウム、センノシドの内服、グリセリン浣腸なども。

抗ガン剤で皮膚障害?

皮膚や爪は細胞分裂が激しい (これはありがたいことなのだが) 副作用もまた出やすい。ざ瘡様皮疹、乾皮症、爪囲炎(そういえん)の他、皮膚や爪が黒ずむこともある。特に問題なのは手足症候群。手の平や足裏に発赤、剥離、水疱などが見られる。重症化すると歩けなくなることもある。予防はやはりスキンケアである。角質の保護と炎症のコントロールのため保湿剤とステロイド外用薬が用いられる。抗ガン剤の投与中手を冷やす (フローズン・グローブ) のも有効である。

口内炎になるのは何故?

抗ガン剤が口腔粘膜上皮細胞に取り込まれやすいため。しかも好中球が減少しているとしたら更に細菌感染する可能性が高くなる。とにかくうがい。アロプリノール、半夏瀉心湯、ポピドンヨード、アズレンなど。歯磨きや口腔ケアも疎かにしてはいけない。

末梢神経障害になったらどうするの?

プラチナ製剤は神経細胞自体を障害し、タキサン製剤は神経軸索を障害する。治療にはプレガバリン、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)など。機能障害になる前に休薬するか減量する必要がある。もちろん勝手な断薬、怠薬は駄目である。症状がでたらなるべく早く主治医か薬剤師に相談しよう。

脱毛

抗ガン剤と言えば脱毛。これを防ぐ方法はまずない。毛母細胞も新陳代謝が活発なためダメージを受けやすい。
また抜けるのは頭髪ばかりではない。睫、眉毛も抜けるのだ!しかも痛い。髪はウイッグやバンダナで隠せるが、目にゴミが入りやすいなど、目まで悪くしてしまってはいけないので、注意しよう。
ガン患者さんのウイッグは自治体によっては助成金があるし、医療費控除の対象にもなる。
女性に限らず、社会にいる以上、外見も大事なファクターである。
アピアランス支援センターはこちら→ https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/appearance/

緩和ケア

ガンと診断されたときから病変の治療と並行して痛みを取り除きQOL (生活の質) 向上のため行われる。末期だけやるものではない。一日中続くのを持続痛、一時的に増強するのを突出痛という。鎮痛剤はWHOの原則に則って疼痛ラダーを基準に処方される。効果が見られないときなどは別のオピオイドに変更する (オピオイド・スイッチング) こともある。適切に用いれば痛みの80%はコントロールできるとされている。

  • 非オピオイド:NSAIDs、アセトアミノフェンなど。
  • 弱オピオイド:コデインリン酸、トラマールなど。
  • 強オピオイド:MSコンチン(モルヒネ)、オキシコドン、フェンタニル、メサドンなど。

患者さんのケアにはどんなのがあるの?

心のケアにはサイコオンコロジー (精神腫瘍学) がある。社会的ケアには医療ソーシャル・ワーカー(MSW)がいる。ガン拠点病院には必ずガン相談支援センターのようなものがあり、相談に乗ってくれる。

ガン関連用語

  • 浸潤:ガン細胞が周囲に直接広がってしまうこと。
  • 転移:ガン細胞が離れた部位に飛ぶこと。
  • 原発巣:元々ガン細胞があった場所。あちこち転移してからだと不明な場合もある。
  • VEGF:血管内皮増殖因子。ガン細胞は酸素が欲しいので自ら分泌して酸素と栄養を盗むための血管を作る。血管の豊富な腫瘍はカテーテルを使って塞栓物質を注入、ガン細胞に栄養が行かないようにする治療ができる。肝臓ガンの一部でさなれることもある。
  • 再発:切除してもまたなるのは手術時点で既にミクロレベルの微小ガンが転移しており、それが大きくなったものと考えられている。乳ガンの骨髄転移などは10年以上経ってから増殖、再発することがあるので油断できない。
  • アポトーシス:アポ (離れる) 、トーシス (下垂) が語源。「プログラムされた細胞死」と訳される。体をいい状態に保つため、不健康な細胞は自滅するようになっているということ。人体の素晴らしい仕組み。
  • 支持療法:抗ガン剤の副作用を予防したり軽減させたりするケア。悪心、嘔吐、白血球減少を軽くするなど。
  • レジメン:投与する薬剤の種類、量、期間、手順などを時系列に示した計画書。料理でいえばレシピ。
  • 免疫チェックポイント阻害薬:PD-1を発見したのが京都大学の本庶佑 (ほんじょたすく) 先生である。
  • 臨床試験:第I相(P1:フェーズ1という)、第II相、第III相と3段階がある。
    第I相でどのくらいの投与量まで耐えられるかを探る。
    第II相では有効性と安全性を評価する。
    第III相では従来の標準治療と比較・検証する。
    新薬が標準治療より有意に有効、安全であれば認可される。
  • オープンラベル試験:二重盲検法でない臨床試験。あまり信用がおけない。
  • ランダム化:投与群を開発中の薬とニセ薬 (プラセボ) に分けて効果を調べる。投与する医師も患者もどちらが投与されているか知らない。「鰯の頭も信心から」というくらい、ヒトというものは「効く」と思えば効いてしまう生き物なので。しかしもし効く薬であった場合、プラセボ群はその分日数を無駄に費やしたことになる。
  • 標準治療:「ありきたりの治療」ではない。現時点での保険診療で実施される中で最も良いとされる最高の治療法。医療において「最先端」がいいとは限らない。けもの道かも知れない。
    本当に効果があり、副作用が少ないのであれば、とっとと認可を受け薬価収載とか保険診療ができるはずである。
  • アロディニア:触れる程度の僅かな刺激でも強い痛みや灼熱痛を感じる。
  • 神経障害性疼痛:ガンが大きくなり神経を圧迫したり浸潤したりすることで起きる痛み。痺れるような、電気が走るような、と表現されることが多い。
  • ミキシング:抗ガン剤を点滴投与する前に調製すること。投与までの時間が決まっているものや光で変質してしまうもの、催奇形性や発ガン性があるものなどもあるため、注意を要する。
    医療者の曝露も防がねばならない。抗ガン剤の扱いには細心の注意が必要なのである。
  • スピル:抗ガン剤がこぼれること。PPE (個人防護具) を用いて曝露予防しなくてはならない。
    僅かな量でも医療者は頻繁・長期に渡って晒されるため懸念がある。

まとめ

わたくしもあなたもいつガンになるかわかったものではありません。検査や治療が痛いのも嫌だし、下手したら仕事を失うかも知れません。そうならないために、情報を集め、準備しておきましょう。
なったらなったで、失うものが最小限となるように備えておきましょう。病気はもちろんガンだけではありませんが。知らないでいるより、知っている方が何かと心強いですし、災害も病気も日頃の備えは無駄にはなりません。

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