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消毒薬:エチルアルコールはなぜ100%ではないの?メチルとどう違うの?

2021/10/11
 
アメリカの消毒薬
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エチルとメチル、この違いは大きい!
メチルアルコールで失明する理由をご存じであろうか?下に詳しく↓

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エチルアルコールとメチルアルコールの化学式
三菱ガス化学ホームページより転載:https://www.mgc.co.jp/rd/technology/methanol.html

ロシア人またも死亡(10/11)

ロシアで密造酒を飲んだ64人が中毒、32人が死亡したとか。死亡者の体内から致死量の3~5倍ものメタノールが検出されたとのこと。そりゃ死亡するであろう。まあ販売する方は儲けるためだろうからわからないでもないが、わざわざ買ってまで飲むというのが理解できない。死んでもいいから飲みたい、ということなのだろうか?
学校で、エチルアルコールとメチルアルコールの違い、習わないのだろうか、と不思議に思う。

コロナのウイルスでまだましだった!

それは何故かというと、エンベロープがあるからである。
ウイルスにはエンベロープのあるものとないものがあり、あるものはアルコールに感受性がある (つまり容易に壊される) からである。エンベロープ表面にスパイクタンパク質があり、これがアルコールで溶かされるのだ。エンベロープがないウイルス (ノロウイルスアデノウイルス) だとアルコール消毒が効かないわけである。
効かないとなればより強い消毒剤(医療用の取り扱いが難しい、グルタラールなど)が必要となる。

手洗い

手洗いには日常的手洗い、衛生的手洗い、手術時手洗いの三つがある。

  • 日常的手洗い:通常、水道水と石鹸または水道水のみにて行われる。だれでもふつうにできることである。
  • 衛生的手洗い:病院において診療の前後に行われており、「アルコール手指消毒」もしくは「石鹸と水道水による手洗い」を指す。
  • 手術時手洗い:手術前になされる最も水準の高い手洗いであり、アルコール手指消毒液を用いた手洗い。以前はたわしのような固いブラシで10分ほど、常在菌まで落とす手洗いであったが、今はかえって傷がつくことで菌が増殖するとして、柔らかいブラシかもしくはブラシを使わない手洗い方法 (2~6分) に変わった。

近代的消毒

この「手洗い」の重要性に人類でもっとも先に気づいてくれたのは、わたくしが最も尊敬するドクター、ハンガリーのゼンメルワイス(1818~1865年)である。当時のウィーンの産科で多くの妊婦が産褥熱で死亡するのを目にしたことで消毒の必要性に気づいた。
友人の医師が解剖したときメスで自らを傷つけ、敗血症で死んだ。このときその遺体を解剖、産褥熱で死亡した妊婦との共通点を見つけた。
原因は死体を触った手についた何かのせいであると推論した。当時医学生が死体解剖をした後、手も洗わず、妊婦を診察していた。そこで死体や病人、器具、包帯などに触れた者に塩素溶液による消毒を義務付けた。

その結果産褥熱で死亡する妊婦の数は劇的に低下した。当時産婆が取り上げた場合妊婦死亡率は低いのに、医師が取り上げた妊婦は死亡率がものすごく高かったのだ。産婆さんは手を洗うし、そもそも遺体を触ることはないが、医師は解剖もするし、手も洗わないで次の患者に触れてしまうのだ。
それを指摘したゼンメルワイスは医師業界から総スカンを食って不遇な人生だった。気の毒すぎる。!

感染成立の三要素

  • 感染源:ウイルスや細菌、寄生虫など実にいろいろある。空気の中にもカビや花粉や有毒ガスが含まれている。でも通常は免疫力で感染防御してくれている。
  • 感染経路:接触感染、飛沫感染、空気感染、性的感染などこれまたいろいろある。
  • 宿主 (しゅくしゅ) :ヒトだけがうつる、ヒトも動物もうつる、ヒトからヒトへうつるなど、これもいろいろある。ブタなどはヒトと遺伝子が似ているため、ヒト→ブタ→ヒトとうつっていくうちに変異する可能性がある。
    RNAウイルスは1本なのでDNAウイルスの2本鎖より結合が解けやすい (変異しやすい) という点が怖いところである。

Spauldingの分類

消毒薬は高水準、中水準、低水準に分けられる。生体に対しては消毒部位によりその使用濃度が決められている。これを常用濃度という。創傷部位に対してと器具に対してはもちろん違う。

エタノール(エチルアルコール:CHCHOH)

酒精とも呼ばれる中水準消毒薬。抗菌スペクトルが広い (つまりいろいろなものに有効) 。
無色透明で特有の香りと味を有する液体。アルコール分解酵素によりアセトアルデヒドから酢酸に分解される。刺激性は濃度が高いときに強く、殺菌力は約70%の濃度(消毒用では76.9~81.4vol%✿)において最強。
99.5vol%以上含有している無水エタノールには臨床で使える消毒効果はまったくない。アルコールが売り場から無くなっていた頃、うっかり買ってしまった方もいらっしゃるかも知れませんな。
芽胞以外のほとんどの微生物に効果を発揮するが、効果の持続性はやや短い。刺激性があるため粘膜、創傷部位には使用しない。特に眼の付近には厳禁。

✿vol%:v/v%とも表記される。容量パーセント。水とアルコールを容量で計算した濃度。液体が液体に何%入っているかの単位。エタノールは比重が0.860~0.873と低いため、まあ70%濃度だなと思えばよい。
濃度単位には他に重量パーセント、重量/容量パーセント、容量/重量パーセントがある。

脂肪族麻酔薬に属し、麻酔薬の他、麻酔初期の発揚期を利用した興奮薬、種々の濃度でチンキ剤、酒精剤、エリキシル剤、エキス剤、流エキス剤等の製剤原料として繁用される。またアルコール性飲料として食欲増進にも利用される。また局所的にタンパク質を凝固させるため、消毒・滅菌、局所刺激剤としても用いられる。揮発性があるので容器の気密性が大切。抗菌力が発揮されるまでに15~30秒かかる。毒性はイソプロパノールの半分だが、その分価格は高い。
脂を溶かすのでガスレンジの掃除に最適!しかしヒトの手の皮脂も溶かすので使いすぎは手を荒らすことになる。

メタノール (メチルアルコール:CH4O)

木精。酒税がかかるエタノールより安い。無色で水と混ざり合い人体に有害。代謝によりホルムアルデヒド→蟻酸となる。吸収には1時間かかる。酢酸やホルマリンの原料になると言えば、どれほど安全でないか、想像できるであろう。
誤飲した場合は吸収される前に吐かせる。治療にはエタノールを使う。病院で胃洗浄する。
分解にはエタノールの10倍の時間を要する。赤ワインには特に多い。ブランデー、ウィスキーにも若干は含まれている。
飲むとチトクロームC酸化酵素を阻害するため、視障害が起こり、ときに失明に至る。
エタノールより安いが、いくら酒が好きでも、飲んではならない。
成人では約15mlで失明、100~250mlで死に至る。

オキシドール(H22

過酸化水素水(hydrogen peroxide)のこと。2.5~3.5 w/v%を含む。安定剤としてリン酸、バルビツール酸、尿酸、アセトアニリド等を含む。無色透明の液で、匂いはないか、オゾン様の匂いがある。細菌、血液、膿等のカタラーゼ含有物に触れると、発生機の酸素を生じ、殺菌作用を呈する。創傷、潰瘍の殺菌、消毒には原液のまま、若しくは水で2~3倍に希釈して塗布洗浄する。また耳鼻咽喉領域の炎症には原液のまま塗布、滴下あるいは2~10倍希釈して洗浄、噴霧、含嗽する。口腔粘膜及び歯には原液または2倍希釈して洗浄、拭掃する。口内炎の洗口には10倍希釈する。医薬品としてのみならず、食品の殺菌保存、漂白、工業的にはビニール樹脂可塑剤の製造原料として、農業面では種子の発芽能力の向上、貯蔵に使用される等、用途は多い。
過酸化水素は工業的には電解酸化によって得た二過硫酸アンモニウムを水で分解する方法の他に2‐エチルアントラキノン等の接触還元で得たジヒドロ体の空気または酸素による酸化(ジヒドロ体は出発物質に戻され再使用できる)、若しくは石油化学で大量生産されるイソプロパノールを空気酸化して製造される。
最近ではこれを傷口に振りかけることはしなくなった。傷口は流水で流すだけが一番とガイドラインも変わってきたようだ。

アルコール系消毒薬

オペに汎用されるが時に電気メス使用時に引火することがある。

イソプロパノール(70%)

消毒用エタノールと同等の効果があるが、エタノールより脱脂作用が強いため皮膚が荒れやすい。また臭いが悪く毒性が強い。多量に吸入すると気道の刺激作用、頭痛、悪心が起きる。酒税がかからないので安い。採血のとき単包綿を使う。エタノールIPと書いてあるのはこれのこと。肌が弱いヒトは高くてもIPでないものを購入しよう。丈夫な方はご自由に。

過酢酸

強い酸化作用で短時間に微生物を殺滅してくれる。刺激臭があり、目や呼吸器の粘膜を刺激する。
酢酸、水、酸素に分解するため、環境には優しい。

次亜塩素酸ナトリウム

中水準消毒薬。水の消毒に使用する塩素剤。都市水道水には加圧した液体塩素、一般飲料水やプールの水には5%前後の次亜塩素酸ナトリウム液が用いられる。漂白粉bleaching powder(サラシ粉、カルキ)も塩素消毒剤で、主成分はCaCl(ClO)・HO、日本薬局方の漂白粉は有効塩素(available chlorine)が30%以上含むよう規定されている。有効塩素60%以上含有の高度漂白粉は、温度・湿度に対し安定性がよく、保存に適する。
直射日光に晒されなければ比較的安定。遊離塩素が熱や光で分解してしまう。

血液などの有機物があると失活するため汚れを拭き取ってから消毒する。色物の脱色に注意する。

塩素剤は多くの微生物に作用し、殺菌力が強く、通常使用量での毒性はない。希釈しないで使うとプラスチックやゴムが劣化してしまう。浸漬(しんし)消毒の他、床上のウイルス汚染血液や排泄物の消毒には0.5%濃度で使う。
基本生体には使用しない。医薬品と雑品がある。雑品は経時変化で成分が希薄になることを見越して5%の表示であっても6%で製造されている。安定剤も添加されている。炊事用ならこれで十分。金属には腐食性があるため向かない。また酸性の洗剤を混ぜるのは厳禁である!

ポピドンヨード

商品名イソジン。銭湯の黄色い風呂桶を知っている方はそれなりのお歳・・・。中水準消毒薬。術野の消毒には10%濃度を使う。塗布後乾燥してから抗菌力が発現するまで2~3分かかる。被膜が形成されれば持続効果が期待できる。

粘膜や創傷部位から吸収され胎児や母乳にも移行する。
アルコール禁忌の患者に使う。褐色なので使用後脱色する。接触性皮膚炎になりやすいため少量を複数回塗布するようにする。長期連用は甲状腺機能異常症などの有害事象を引き起こすことがある。他に万能壺消毒綿球にも。銀の補綴(ほてい)物は変色する。衣服に付いたら水かチオ硫酸ナトリウムで脱色する。

クレゾール石鹸

タンパク質を強く変性させる。独特の匂いがある。高濃度で皮膚に付くと化学熱傷を起こすから注意。新生児に高ビリルビン血症を生じさせた報告があるため新生児室では使用不可。

ハイポ

チオ硫酸ナトリウム。ヨード色を脱色するが、乾燥前に使うと65%濃度アルコールが皮膚に残る。

クロルヘキシジン(CHG)(2%と70%イソプロピルアルコール)

商品名ヒビテン。低水準消毒薬。体用の消毒薬(0.02~0.5%)。5~20%の高濃度では肌荒れ、失神、稀にショックを起こす。エタノール含有ポピドンヨード(5%と69%エタノール)よりカテーテル関連感染症の発生率を85%減らせる(ランセット誌2015.9.18)。引火性があるため電気メスによる火傷には注意が必要となる。皮膚の反応はCHGの方に有意に多く発生したため使用中止した患者もいる。

ベンザルコニウム塩化物

低水準消毒薬。低水準の希釈液は細菌汚染されやすいため24時間以内に使い切る。

両性界面活性剤

低水準消毒薬。低水準の希釈液は細菌汚染されやすい。

フェノキシエタノール

芳香族アルコール。防腐用液剤。死体に振りかける。かけないとすぐにカビが生える。人体は細菌たちにとって栄養満点のパラダイスなので。

高水準消毒薬

  • グルタラール
    内視鏡自動洗浄機、蓋付き浸漬容器などの消毒に使う。一般人が使うことはまずない。
  • フタラール
    内視鏡自動洗浄機に使う。
  • 過酢酸
    内視鏡自動洗浄機に使う。

高頻度接触表面

ドアノブやベッドの柵などよく手が触れる場所。病院や施設ではアルコールやベンザルコニウム塩化物で1回/日は最低拭き取り清掃する。

皮膚のスクラブ

術前に界面活性剤を用いて皮膚の細菌数を減らすため行う。スクラブ実施はカテーテルへの細菌定着に有意な影響を及ぼさなかった。

看護師の手洗い

一般病棟では1日平均5~7回、集中治療室では29~30数回、忙しい時は100回、新生児室では44回、忙しい時は100回。その度ごとに消毒薬を使うので手が荒れる。それでもまめに保湿しておくと抑えられるらしい。病棟に保湿剤を置くと手荒れが減るというデータがある。

お見舞いの花

花瓶の水には緑膿菌が繁殖する。水を取り替えは病室の外でしよう。特に気管切開した患者や呼吸器病の患者には要注意。

オートクレーブ

高圧消毒釜。無菌食を作る時や金属、ガラス器具、プラスチック器具等の滅菌に使われる。

消毒

噴霧式より清拭。大腸菌は2μの大きさなので、余程たくさん噴霧しないと粒子の隙間の菌は死なない。まず水で洗いよく乾かすこと。

キープドライ

菌は水分が大好き。食品を大量に扱う場所では床の清掃が大事。水で流すと一晩で乾かない上、空中の菌が降り積もる。長靴も蒸れて黄色ブドウ球菌が増える。まず床に食品を置かないこと、床に落ちたものは惜しまず捨てる、食品は床上80cm以上の所に置く、床は乾かす、を守るのが食中毒予防には大切である。これを守っている店なら食中毒は出さない (はず) である。バイトテロの様子を動画撮影→公開する方がちらほらいるが、飲食ビジネスに対する冒涜も甚だしい。また日本人の清潔感を理解していない。アメリカに住んでみたら彼らと日本人とどれくらい違うか、よくわかる。同じ「先進国」の括りでも「清潔」という概念がかなり違う。インドは言わずもがなである。彼らの「清潔」は宗教的なものであって、公衆衛生学的なものではない。ガンジス川の使い方を見ればわかる。これはあくまで一般論であるので個人個人の差はもちろんあり、日本人だってすべての方がきれい好きというわけではないので、念のため、お詫びしておく。

消毒薬と言えば健栄製薬→ https://www.kenei-pharm.com/info_coronavirus/

関連情報はこちらにも→ 感染症:細菌やウイルスから身を守るには、どうすればいいの?

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