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中和抗体:変異したCOVID-19にもワクチンは効くの?1回では駄目?

2021/09/05
 
Peacock
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TumisuによるPixabayからの画像

コロナウイルスの外側にエンベロープがあってよかった!
なかったらアルコールが効かないからもっと大変なことになっていた。

中和抗体測定法

まず中和抗体とは、ウイルス感染阻止能(これを中和能という)を有する抗体をいう。
抗体がウイルスタンパク質に特異的に結合できても必ずしもウイルス感染を阻止できるわけではない。
特にウイルスタンパク質の受容体に結合部位を認識する抗体は、ウイルスの受容体結合を阻止することにより中和能を発揮できる場合が多い。特にHIV感染症においてはHIV特異的抗体が誘導されたとしても、HIV特異的中和抗体の誘導効率が悪いことが知られている。

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アメリカのPfizer社がドイツのBioNTech社と共同で開発した話題のワクチン「COMIRNATY(コミナティ)筋注」(コロナウイルス修飾ウリジン✿RNAワクチン)を摂取したら変異株にも対抗できる中和抗体が9割確認されたと横浜市立大学グループが5/11発表した。他のワクチンよりいち早く実用化されたため変異株にも有効なのか心配されていたが、一応は安心できるようだ。現時点ではの話だが・・・。

✿ウリジン(C9H12N2O6):ウラシルのいとこみたいなもの。 RNAの構成成分のひとつ。
DNAのチミンがRNAではウラシルになりますよね。

グループは横浜市立大附属病院の職員105人のワクチン接種の前後で採血、抗体価の変動を計測した。ワクチン接種前、1回目接種の2週間後、2回目接種の1週間後の合計3回行った。
各血液サンプルの中和抗体価を中国武漢の従来株1株、変異株7株の合計8株を対象に検討したそうだ。
変異株7株の内訳は英国株、南アフリカ株、ブラジル株、由来不明株(日本国内採取)、インド株、カリフォルニア株、ニューヨーク株だという。

米疾病管理予防センター(CDC)が公表したVOC(Variants of Concern:懸念される変異株)、VOI (Variants of Interest:注意すべき変異株)の中から選択したとのこと。

3時間で結果が出る中和抗体定量技術

中和抗体の計測は同大学の梁教授らが開発した「hiVNT新型コロナ変異株パネル」(hiVNT法)を用いた。この方法は、ウイルス抗原を持ったウイルス様粒子を人工的に合成し、VeroE6/TMPRSS2細胞株に感染させる方法だ。
従来法では数日かかるのを、わずか3時間で結果が出せる迅速性が売りだ。

感染性のある試料も遺伝子組換え実験の封じ込め施設のいずれも不要で、全国的に普及すれば医療資源の配分を決定する行政判断の目安としても利用できそうだ。

1回では低いが、2回なら

hiVNT法によって従来株に対する中和抗体価(NT50)を、ワクチン接種者105人(前述)について検討したところ、1回接種後の陽性割合は57%だったが、2回接種後には99%となった。
さらに変異株7種についても同様に調べたところ、1回目接種後の陽性率は株間でばらつきが出た。
ニューヨーク株では55%と最も高く、一番低いブラジル株はたった16%だった。
しかし2回目接種後は陽性率が上昇、最も高いニューヨーク株で98%、最も低い南アフリカ株でも90%の陽性率を示したのだ。

グループの山中教授は「最近懸念されているインド株(2回目接種後の陽性割合が97%)についても中和抗体の産生が低下するような傾向は認められなかった。現在接種が進められているワクチンは、約9割のヒトで従来株や変異株に対する液性免疫の誘導(中和抗体誘導)が期待できる。ただ約1割の人には中和抗体が産生される変異株に個人差が見られた。また1回目の接種後、すぐには十分な中和抗体が産生されないことも確認された」と総括した。

スパイク以外に中和エピトープが存在する

ウイルスの感染に伴って誘導される抗体には中和抗体の他に病勢を悪化させる悪玉抗体、中和活性も増悪活性もない日和見抗体がある。腸内フローラと同じである。
中和抗体が認識しているエピトープ(抗原決定基)を探求することで、新しいワクチンの開発や力価が高い抗体を患者に投与するなどの新規治療法の開発にも道が開ける。

これまではウイルスのスパイクを中心に中和エピトープを探索してきたが、任意の抗原を表出させることができる人工ウイルス粒子を使うhiVNT法(前述)では、様々なエピトープを導入して中和抗体を作用させることによって中和エピトープの同定ができる。
グループは今後、検討サンプル数を増やすとともに抗体価の推移や細胞性免疫✿についても検討していく予定だとのこと。

✿細胞性免疫:B細胞による抗体産生を介した体液性免疫に対し、病原体そのものやウイルス感染細胞、ガン細胞などの異物排除において、細胞を主なエフェクターとする免疫機構のこと。

COVID-19についてはこちらにも→ 中和抗体って?:自然感染、変異株感染、ワクチン接種後の保有率は?

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