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認知症:物忘れとの区別、その種類、検査法、新薬は信用できるか?

2021/10/05
 
コスモスてんこ盛り
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ある日突然ではなく、ゆっくり進行していくもの。早く気づいて、手を打とう。
遺伝子は替えられないが、生活習慣は変えられる。家族に負担をかけないためにも。
日本の認知症患者さんは2020年の時点で602万人、何と65歳以上の1/6人である!

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大脳のイメージ画像
遺伝的素因以外は私たちの生活態度次第です。

認知症の種類

主に4種類に分類されている。

  • アルツハイマー型認知症:認知症のなかで最も多く、脳の変性や萎縮がゆっくりと進行する。
    海馬の萎縮により記憶障害が生じ、「物盗られ妄想」が特徴的な疾患。
  • 血管性認知症(VaD):脳血管疾患の再発で段階的に悪化していくため、生活習慣を正すことで再発予防は可能。
  • レビー小体型認知症(DLB):神経細胞にレビー小体という特殊なタンパク質ができる。
    幻視、妄想、パーキンソニズムといった症状が見られる。
  • 前頭側頭型認知症(FTD):前頭葉と側頭葉が萎縮、常同行動✿、社会性の欠如、脱抑制✿、感情鈍麻といった症状が見られる。

✿情動行動:同じ動きを繰り返す。手をひらひらさせたり、同じ所を行ったり来たりなど。
✿脱抑制:衝動や感情を抑えられなくなる。社会的トラブルとなりがち。

アルツハイマー型認知症(AD:Alzheimer’s disease)

1906年にドイツのアルツハイマー博士が報告した疾患。脳の変性や海馬の萎縮がゆっくりと進行する。
初期から極端なもの忘れや見当識障害が目立つようになる。更に大脳の萎縮が進むと、身体機能も障害されていく。

比較的若いうちに始まる認知症。脳のアセチルコリンを含んだニューロンのうち、脳の底部にあるマイネルト核がまずやられる。毎日の喫煙は有為にリスクを高め、毎日の魚介類摂取は有為に低くする。毎日喫煙は5年老化を早め、魚介類摂取は約2.5年老化を遅延させる。
食べる量は少な目に、栄養豊富な食生活と禁煙が認知症予防には重要である。当たり前であるが。

記憶障害などの症状が現れる何年も前から脳の萎縮は始まっているとされており、現在ではまだ効果的な予防や根本的治療が困難といわれている。まだ完全に元に戻す薬はない。しかし治療薬を早期から投与することで、症状の進行がゆるやかになるという報告もあり、早期発見が非常に重要である。

アルツハイマー型認知症は認知症全体の約6割を占め、男性より女性の方が多いといわれている。

APOE(アポイー)遺伝子

アルツハイマー型認知症の発症リスク遺伝子。ヒトの体内にある高比重リポたんぱく(HDL)はコレステロールの運搬を担っている。この構成成分アポリポタンパクはA~Eの5種類に大別される。更にEには3種類ありE4型を多く持つヒトはアルツハイマー型認知症になりやすいことがわかった。遺伝子検査をしてタイプがE4だったら発症する確率が高いとみてよい。日本人は約20%が持っている。

両親の一方から受け継いだらリスクは3倍、両方から受け継いだら11倍にもなる。検査に保険適用はないため自費で2万円くらい(施設により異なるので要確認)。
やりなすさはあくまで目安なので、健康的な暮らしを心がければ発症しにくくできる。

歯周病

九州大学大学院の武 洲(たけ ひろ)准教授の研究チームのマウスによる実験によれば、ヒトの中年(40代~50歳代)ぐらいに当たるマウスに、歯周病菌を3週間連続で投与した結果、マウスの脳内にあるアルツハイマー型認知症のような病態を引き起こす異常なタンパク質のアミロイドβ10倍に増え、記憶力が低下した。
本来は免疫細胞が歯周病菌から体を守るのだが、あまりに多くの歯周病菌がいると、免疫細胞がそれを過剰に攻撃し、炎症が起こってくる。

本来脳には、不要な物質が入らないよう、血液脳関門(BBB)というフイルターがあるため、体内でアミロイドβが作られても脳には到達しないはずだが、脳の血管内皮細胞にはアミロイドβを脳に取り込むラージという受容体があり、歯周病菌がラージを増やしてアミロイドβを脳内に輸入させるということがわかった。

つまり口腔衛生がお粗末な方だと、全身に広がった歯周病菌が脳以外の部分でもアミロイドβを作り出し、血流に乗って、脳内に取り込まれてしまうことになる。脳内にアミロイドβがたまると、記憶障害などを引き起こし、アルツハイマー型認知症の発症につながるであろうことは自明の理である。これはマウスの実験であるが、同じほ乳類であるヒトの体内でも同様なことは十分考えられることであろう。

だからこそ、寝たきりであっても経管栄養であっても口腔衛生は必須なのである。まして自身で歯磨きできるのであれば、ぜひ歯磨きと舌こき(タン・クリーナーで舌の表面を擦って舌苔を落とす)をすべきである。入れ歯や差し歯も同様である。口の中の雑菌はものすごい数である。時間が経つほど増えもする。

日本人はあまり歯を気にしない方が多いが、美的基準ばかりでなく、認知症や誤嚥性肺炎の予防のためにも口腔衛生には気を配るべきである。

NHK健康→ https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1308.html

嗅覚

視覚や聴覚より記憶を呼び起こす作用が強く、脳の活性化に繋がるためソムリエはアルツハイマー型認知症やパーキンソン病に罹りにくいと言われる。

マスターソムリエ(当時は世界に234人)13人と一般人13人の脳をMRIで調べるとソムリエの脳は嗅覚や記憶に関わる部位が活性化していた。
ソムリエでないヒトでも鼻をくんくんさせることは有効であろう。マスクしていると外でにおいを嗅ぐことが減っているが・・・。鼻が効かないとリッチなお食事も美味しさ半減である。

FASTの分類(Functional Assessment Staging)

Alzheimer型認知症の重症度を生活機能の面から分類した観察式の評価尺度。

検査・診断

診断には長谷川式簡易知能評価スケールを用いる。15点以下だと認知症を強く疑う。
CT、MRIで画像検査すると側頭葉海馬)を中心とした萎縮がみられ、SPECTPETでは頭頂葉や側頭葉の機能低下がみられる。

特徴的な症状として、記憶を司る海馬の萎縮により、記憶障害が現れる。特に数分前の記憶(短期記憶)の障害が顕著で、物の置き場所がわからないことや、同じ話を何度も繰り返すことなどが頻発するようになる。
また意欲の低下、妄想、幻覚、興奮、行動異常などの行動・心理症状(BPSD)が現れることもある。

特に財布や通帳を盗られたと訴える「物盗られ妄想」が多くみられる。こうなると看護師であれ同居の親族であれ、大変である。誤解により暴言や暴力に発展することもままある。物盗られ妄想が出現しているときは、否定をすると余計に不安が増し、興奮を助長させてしまうので、本人の話をよく聞き、一緒に探してあげたり、さり気なく話題を変えたりして興奮が収まるようするのが望ましい。このときは相手の尊厳を保って接するよう心がけよう。泥棒呼ばわりされて気分が悪いのに、非常に難しいが。

見当識障害

時間、場所などの誤認識。問診で「今日は何日か?」など当たり前のことを聞くのはこれを確認するためである。
前頭葉の障害による遂行機能障害などが生じると、ADL(日常生活動作)にも支障をきたすようになる。

中等度に進行すると、金銭管理や買い物なども困難となり、入浴・更衣などの単純な動作にさえ援助が必要となってくる。

重度になると会話の内容の理解が難しく、発語も乏しくなる。家族の顔を見てもわからなくなるなど、日常生活のすべてにおいて援助が必要な状態となってしまう。介助者の負担はますます重くなる。

治療

関わっていくなかで、ケアの拒否に遭う、やり方の意見が折り合わないなどのときは、無理強いをせず、一歩引いて少し時間を空けることも有効。

現時点で治療薬として処方されるのは、ドネペジル塩酸塩、ガランタミンリバスチグミンメマンチンなど。
幻覚や妄想、興奮といった行動・心理症状に対しては、非定型向精神薬(リスペリドン、クエチアピンなど)や抑肝散(よくかんさん)などが一般的に使用される。

新薬承認

2021年6月、アメリカでアデュカヌマブ (バイオジェン社のADUHELM) がFDAに承認された。バイオジェンとエーザイの共同研究。アルツハイマー型の原因となるアミロイドβが脳内に蓄積しないように抑えるモノクローナル抗体。
従来の薬はアセチルコリンの減少を改善する薬だったので、まったく作用機序が異なる。

しかし問題もある。脳内に溜まったアミロイドβはアミロイドPET(positron emission tomography)で検査すればわかるのだが、保険外のため、1回で55万円もかかるのだ!また薬価も高額で、アメリカでは612万円/年もかかる。日本がそれより安いわけはないから、高額治療となるのは間違いない。

さらに高齢者はアルツハイマー以外に血管障害や糖尿病、高血圧など他の疾患も持っている場合が非常に多い。その場合アミロイドβだけ減らしてみても効果があるかどうか保証の限りではない。若年者で余病がないアルツハイマー型の場合は改善がかなり期待できるが。日本ではいつ承認されるだろうか・・・。

さらに問題も・・・。

2021/9/29、ロイターヘルスに、スタンフォード大学グッドマン博士らはアデュカヌマブに対するFDAの許可には疑問が残るとした。薬剤費は56,000ドル/年もかかる。
同薬の承認を巡っては、否定的見解を示した諮問委員会のメンバー3人(ワシントン大学のパールマッター教授ら)がFDAの許可に抗議して辞任した。

彼らはFDAのデータベースは構造化されておらず、新薬承認の可否についてどう合理的な決定をしたのか明確に示されておらず、また承認する判断を下す場合には裁判の判例のように過去の決定を引用することを義務づけるべきだとも述べている。

またパールマッター博士はFDAが製薬業界から予算の半分以上を受けていることも問題視している。
アメリカ政府が100%資金提供すれば実質的に連邦政府のメディケア支出を抑えることに繋がるとしている。
特にアデュカヌマブのような大型新薬は保険財政に数千億ドルものインパクトを与えるからである。

2021/7/15、アメリカ有数の大病院、クリーブランド・クリニックとニューヨークのマウント・サイナイ・ヘルス・システムはアデュカヌマブを採用しないと決定した。
マウント・サイナイのガンディ博士はロイターの取材に、FDAとバイオジェン社の関係に疑惑があると語った。

6月中旬にはワシントンのニューロロジー(神経学)・センターもまた有効性・安全性、コストに関する懸念からアデュカヌマブを患者さんに推奨しないとしている。

FDAは6月初め、複数の臨床試験で好ましくない結果が出たにも関わらず、同薬を承認した。「脳内のアミロイドβを除去することはアルツハイマー病患者の利益に資すると確信している」と。

一方メディケア・プランを担保する保険会社らはデータに基づく保険適用の基準を同薬は満たしていないとしている(つまり払わない)。最大手のユナイテツドヘルス・グループ、2番手のヒューマナも、CMS(メディケア・メディケイド・サービスセンター)からの指導を待つとしている。

関連情報はこちらにも→ 成年後見制度

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