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日本の偉人:医学の発展に寄与した先生たちのこと、もっと知ろう。

2021/10/03
 
藤棚
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誰でも知っている北里柴三郎氏からあまり知られていない山際勝三郎氏まで、独断と偏見でご紹介。
他にも多々いらっしゃるでしょうが、私の知る範囲で。
医学も化学も急に発展するものではない。日々、黙々とだれかが何年も研究してくれているからこそ、いつかそれが実を結ぶのである。アメリカ並みとは言わないが、もっと予算をつけてあげてほしい。

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北里 柴三郎 (1852~1931年)

熊本県生まれ。「日本細菌学の父」と呼ばれる。ベルリン大学に留学、コッホに師事し、破傷風菌の純粋培養に成功した。当時はだれも破傷風菌単独での純粋培養はできなかった。破傷風菌が嫌気性細菌であることに気づき酸素がない環境にすれば培養できるのではと考え、培養皿と蓋を一体化した円盤状の培養装置を作り「亀の子シャーレ」と名付けた。培地とともに破傷風菌を仕込み内部に水素ガスを通して酸素をパージ(一掃、抹消)し密封した。
この無酸素状態の培養装置で破傷風菌の純粋培養に成功した(1889年)。このシャーレは今でもヨーロッパでは北里コルベンと呼ばれている。

ペスト菌も発見した。福沢諭吉の協力で芝公園に「私立伝染病研究所」を作った。「予防医学」という概念を打ち立てたという点で当時は珍しい医師であった。在学中も研究所を作ってからも東大から嫌がらせをされた。慶應義塾大学医学部を創設、体温計と注射針で有名なテルモ株式会社も設立した。

高峰 譲吉 (1854~1922年)

アドレナリンの抽出に成功。手術用の止血剤、血糖値を上げる薬として広く用いられるようになった。ジアスターゼ(アミラーゼ)とアドレナリンの発見による特許で巨額の特許料を得た。マンハッタンに純日本風の大邸宅を建設、日露戦争におけるアメリカからの戦費調達交渉にも関わった。


1913年の三共(現第一三共)の初代社長に就任。しかし死後ジョーンズポプキンズ大学のエイベル博士もひつじの副腎から血圧を上げる物質を抽出、エピネフリンと命名していたが、1927年に高峰譲吉の研究成果は自分の実験手法を盗んだ物だと主張。正当な裁判もなく米国医学界はそれを認めた。その後エピネフリンはアドレナリンとは異なる分子構造であることが照明されエイベル博士の主張は的外れであることが判明した。
譲吉の助手が記録した実験ノートに方法、結果が記載されていたため。
2001年の学会で譲吉の名誉が回復、翌年米国内でもアドレナリンの名前が使われるようになった。

あなたが日本人なら、エピネフリンと言わず、アドレナリンと言おう!

山極 勝三郎 (1863~1930年)

Katsusaburo Yamagiwa
山際 勝三郎

日本の病理学者。人工癌研究のパイオニアとして知られる。彼は人工癌の研究以前に胃癌の発生、および肝臓細胞癌についての研究を行っていた。彼は「環境がガン細胞を作る」と言い、特定の癌化する細胞があるのではないと述べた。
当時、癌の発生原因は不明であり、主たる説に「刺激説」、「素因説」などが存在していた。

山極は煙突掃除夫に皮膚癌の罹患が多いこと(この悲しい話はまた別の機会にご説明)に着目して刺激説を採り、実験を開始する。その実験はひたすらウサギの耳にコールタールを塗擦(塗布ではない)し続けるという地道なもので、助手の市川厚一と共に、実に3年以上に渡って反復実験を行い、1915年、遂に人工癌の発生に成功した。
これはコールタールを扱う職人の手、顔、頭などに癌を生じる事があるという既知の臨床学的事実に基づくものであるが、既に多くの学者がその立証に失敗していたものであった。
小さな腫瘍的なものを生じても、悪性のものは作れなかったのである。しかし彼は信念を持って継続し、とうとうこの発見にたどり着いた。彼が成功した原因としては、モデル動物としてを選んだ点も上げられる。ラットでは同様の方法での癌発生率はきわめて低いことが知られている。

彼はこの後に癌の免疫に関する研究に方向を変えたが、そちらでは大きな成果を上げることは出来なかった。
今でこそタールの発がん性は子どもでも知っているが、以前は化学物質が原因で正常な細胞がガン化することさえわかっていなかったのだ。もっと評価されてもいい先生だ。ウサギちゃんたちには気の毒であるが・・・。

遠藤憲一主演で映画化された。→ http://usagioishi.jp/

華岡青洲(1760~1835年)

世界で初めて全身麻酔下での乳ガンの外科手術を行った。欧米ではすでに16世紀頃より乳がんを切除することは行われていたものの、麻酔がないため大きな切除ができず、患者さんの痛みも手術の結果も惨憺たるものであった。


一方当時の日本では、乳房は女性の急所であり、これを取り去りされば命にかかわると思い込まれていて、乳房は手術適応外の臓器であった。
しかし、彼はドイツ人ハルステッド(ハルステッド鉗子にその名が残る)の教科書で西欧では乳ガンを摘出していることを知り、さらに牛の角で切り裂かれ乳房を失った女性がふつうに元気に治ったことを経験したため、是非とも乳ガンを手術で治したいと考えた。


妹の於勝(おかつ)が若くして乳ガンで亡くなっていたことも、この病気の治療に対する強い思い入れとなったのであろう。
彼は長年にわたる実験の成果で通仙散(つうせんさん)を完成させ、それを用いた全身麻酔による乳ガン手術に踏み切った。

谷原章介、和久井絵美、田中好子らの共演でNHKでドラマ化(華岡青洲の妻)された。→ http://www6.nhk.or.jp/drama/pastprog/outline.html?i=hana

ビデオでぜひ観てほしい。今は亡きスーちゃんが実に美しい。ひとりの男に妹、妻、母が身(命)を差し出す、そして遂に麻酔薬が完成するところをぜひ観てほしい。義母と彼女に選ばれた嫁との葛藤みたいなのも見どころである。

朝永振一郎(ともなが しんいちろう:1906~1979年)

理化学研究所の研究員を経て東京文理科大学(現筑波大学)教授。1943年に超多時間理論を発表し、くりこみ理論へと発展させた。戦時中はマグネトロンの理論研究も行った。1952年文化勲章を受賞。1965年に量子電磁力学の研究によりノーベル物理学賞を受賞。

詳しくは筑波大学→ https://www.tsukuba.ac.jp/community/students-kagakunome/tomonaga

南方 熊楠 (みなかた くまぐす:1867~1941年)

和歌山県出身。10歳頃から筆写し始めた。12歳の時、古本屋で太平記を50円で見つけたものの3円足りず買えなくて、少しずつ立ち読みしては帰って写し、半年で完成させた。凄い記憶力と執着心だ。
仇名は「反芻」で吐きたい時はいつでも吐けた。
有名になってからも、気に入らない者には唾を吐きかけて玄関払いをした。学者でなかったらただの変態だ。
夏も冬も4時間以上は眠らなかった。父から16,000円の遺産をもらったが、全部弟に渡して年に1度1,800円もらうことにした。余った金は取りに行く道すがら、貨幣にして落としていくので、近所の者が待っていた。
東大中退後14年間海外遊学した。粘菌をはじめとした生物学、人文科学、民俗学の分野では柳田国男と並ぶ重要な役割を果たした。生涯、在野の学者に徹し、エコロジストの先駆けでもあった。

仁科 芳雄 (1890~1951年)

日本の「物理学の父」。クライン・仁科の公式を携えコペンハーゲンから帰国した。湯川秀樹朝永振一郎も彼の弟子に当たる。仁科賞は物理学に功績のあった人に贈られる。

日本陸軍の委託を受け原爆開発に携わった。ウラン濃縮のために熱拡散による同位体分離法を試みていた。敗戦後GHQにサイクロトロンを破壊され東京湾に捨てられた。所属した理化学研究所も米軍の管理課に置かれ存続のための金策に苦労した。

石原 忍 (1879~1963年)

軍人の長男に産まれ東京大学医学部に進んだ。卒後直ちに軍医に任官した。日露戦争直後だったため大学に戻り外科を志した。自分の結婚式も忘れるほど研究熱心だった。陸軍では眼科医が不足していて大学院に進学させるのを条件に眼科医を志すことにした。
全色盲の症例を日本で初めて報告することができ、色覚異常の研究の端緒となった。色覚検査の石原表を作った。

黒田 チカ (1884~1968年)

日本初の女性化学者帝国大学に入学した最初の女性でもある。紫根、紅花などの天然色素の研究に従事。
オックスフォードへ留学。カーサミンの構造決定で女性理学博士第2号となる。お茶の水女子大学教授に就任。
玉葱中のケルセチンに血圧降下作用があるのを発見、特許を取り市販。今ではケルセチンを知らないヒトの方が少ないだろう。

川本 幸民 (1810~1871年)

蘭学者。日本の「化学の祖」とされている。島津藩主・島津斉彬(しまづ なりあきら)に見いだされ薩摩藩の顧問となった。ドルトンベリセリウスの理論などを和訳した。
シュテックハルトの「化学の学校」を和訳、ここから「舎密(せいみ)」を「化学」というようになった。「蛋白」というのも彼の造語。

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