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消化器:口から肛門までの長~い道のりとそれにまつわるお話。

2021/09/05
 
牡丹・黄
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具合が悪くならないと胃や腸がどんなに頑張ってくれているか知りもせず、つい暴飲暴食してしまう私たち。
ある日突然ひどい目に遭わないよう、注意しましょう。

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お食事中の方はご注意ください

消化

タンパク質ならアミノ酸に、炭水化物は単糖に、脂肪は遊離脂肪酸とグリセロールにまで分解し、分解産物を素材にして自身のタンパク質・炭水化物・脂質を再構築すること。
だから牛肉を食べても絶対ウシにならないし、コラーゲンを食べてもお肌にだけ行くこともない。

消化器(digestive organ)

digestive organ
Diagram of human digestive system illustration

食物はまず、口腔に入って舌や歯で噛み砕かれ、咽頭、食道を通過し、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(盲腸、虫垂、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸)、肛門の順に胃腸管(消化管)を辿る。
摂取、貯蔵、消化、吸収、運搬、排泄までを行う器管。具合が悪くならないと気にもしない臓器たち。

胃腸管(消化管)の長さは約9mにもなる。くねくね折りたたまれて腹部に収まっているため自覚はないが。
また消化腺合成器管も含む。
消化腺とは唾液腺、膵臓をいい、合成器官とは、肝臓、胆嚢をいう。

食道

食堂ではない。食物や唾液の運搬が仕事で消化・吸収はしない。上部1/3は横紋筋で、下部1/3は平滑筋でできている。蠕動運動があり内面は粘膜で覆われている。消化管は通常4層構造(粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜)だが、食道には漿膜がない。この「膜がない」というのが致命的である。

つまり、腹部のガンが漿膜を破れば漿膜播種となり、胸部なら胸膜播種となるが、食道にはそれがないためガンができたらすぐ周囲へ浸潤しやすいということになる。
喫煙というのは、好き好んでガンになりたいと立候補しているようなものである。
食道の周囲には大小の血管がわんさか (覚えるのが面倒なほど) 走っているため、手術には時間がかかる (食道ガンだと10時間超え!もある) し、術後のトラブル (縫合不全) も起きやすい。
食道ガン、食道裂孔ヘルニア、乳糜胸(にゅうびきょう)、反回神経麻痺などがある。

噴門、胃底部(下じゃなくて胃の上部)、胃体部、幽門前庭部、幽門に分けられる。食物を貯留できるよう袋状になっている。pH2の胃酸で消化と消毒をしながら流すのが仕事。胃酸はプロトンポンプから作られる。

これをモーターにたとえるとスイッチに当たるのがヒスタミンアセチルコリンガストリンである。この胃酸分泌を抑えるのがH2ブロッカーとPPI(プロトンポンプ阻害薬)である。PPIは名前のとおりプロトンポンプを邪魔するのでよさそうだが、モーターを完全に止めるのは時間がかかる。そこで取り急ぎスイッチであるヒスタミンを邪魔するのがH2ブロッカーなのだ。このHはもちろんヒスタミンのこと。効果は弱いが効果は早く出る。

胃潰瘍、胃ガン、急性胃炎、慢性胃炎などがある。胃の周囲には4本の大きな血管やリンパ節があり、また裏には膵臓もあるため、切除するときは立体的に考えなくてはならない。胃ガンは噴門側より幽門側(下半分)にできることが圧倒的に多いので、全摘か幽門側切除となる。再建術にはビルロートI法、ビルロートⅡ法、ルーワイ吻合 (Roux Y-anastomosis) 法がある。

小腸

長さは6m。十二指腸、Treitz靱帯、空腸、回腸とあるが、図で見るような境目があるわけではない。消化と栄養吸収が主たる業務。大腸より血流が多い。小腸ガンは少ない。

大腸

長さ1.5m。盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸から肛門へ向かう。水分を調節して便を作成する。水分が少ないと硬くなるので出すのが大変だし、水分が多ければ下痢となって落ち着かない。
上行結腸と下行結腸は固定されているため自由が利かず、縫合不全を起こしやすい。

大腸ガン、虫垂炎、鼠径ヘルニア、腸閉塞、潰瘍性大腸炎などがある。クローン病については手術はされない。

バクテリアル・トランスロケーション

腸管内の細菌の異常増殖や消化管壁のバリア機能が低下したりすることで腸管粘膜を通って便内の菌が体内に入ってしまうこと。敗血症を来すこともあるので抗菌薬が投与される。

腸閉塞

悪心や嘔吐が見られる。腸管が何かの理由で詰まってしまう病気。閉塞しているのに蠕動運動を促進させたらどうなるか-腸管内圧が上がって腹痛増強、穿孔の危険があるため、プリンペランは禁忌となっている。
プリンペラン自体はフェンタニルや抗ガン剤による悪心に効果的な制吐剤

ストーマ

大腸などを切除したあと、腹部に作られる便・尿の排泄出口。人工肛門、人工膀胱など。粘膜なので赤い。神経がないため触っても痛みは感じない。また粘液や腸液が分泌されるので乾燥することもない。内側から常に外側に圧がかかっているため入浴してお湯が入ってしまうこともない。

小腸ストーマ (イレオストミー) 、結腸ストーマ (コロストミー) などがあり、手術の目的によって永久的なストーマと、後から閉じる一時的ストーマに分かれる。便意を感じたり我慢したりはできないため自分の意思とは関係なく排便される。

より詳しく知りたい方はガン研有明病院→ https://www.jfcr.or.jp/hospital/conference/cancer/woc/artificial_anus.html#Top

肝臓

素晴らしい化学工場。皮膚に次ぐ人体最大の臓器。肝細胞2,500億個から成る。タンパク質の合成、ブドウ糖や脂質の代謝、グリコーゲンの貯蔵、アルコールや薬の解毒、胆汁の生成等、500以上の機能を持つ素晴らしい化学工場。

右葉と左葉に分かれる、冠動脈と門脈により栄養される。2/3切除しても唯一再生してくれるありがたい臓器。
近年は腹腔鏡下手術も行われる。手術では8領域に区分(S1~S8)されるが、何せ血管の走行が入り組んでいるため術後出血には注意が必要。
放射線感受性が高いためがんになっても放射線治療はあまり選択されなかったが、治療機器の進歩で定位照射が可能となり、必要な線量を無駄なく腫瘍に当てられるようになってきた。
局所制御率は9割を超える。ラジオ波焼灼術ができない病変や高齢者、持病がある人には選択肢となる。

肝臓ガン、肝硬変、脂肪肝、A~E型肝炎、肝性脳症、黄疸、肝膿瘍、胆汁漏などがある。肝硬変になると肝臓自身の再生能力も落ちてくるため外科的切除が困難になることもある。脂肪肝→肝硬変→肝ガンのループは止めよう。
B型、C型肝炎も検査して早期治療に取り組もう。肝機能が低下すると下肢の浮腫、腹水、皮膚の黄疸などが見られ、これで受診して発見されることが多い。
沈黙の臓器」と呼ばれるくらいなので初期にはあまり症状が出ず、気づけば進行していることが多い。

肝臓と肺は多臓器からのガン転移が起きやすい臓器であるため、要注意である。手術件数は原発性より転移性の方が多い。大腸ガンの肝転移は切除で完治する例も増えてきた。

手術、薬物療法のほか、冠動脈塞栓療法(TAE)、経皮的エタノール注入療法(PEIT)、ラジオ波焼灼、放射線療法などがあり、その人により適応となるものが選択される。

プロトロンビン

肝臓で生成される血液凝固因子。肝機能が低下すると血中の凝固因子が減少、結果出血傾向となる。

アンモニア

肝機能が低下すると毒素であるアンモニアを尿素に変換できにくくなり、血中のアンモニア量が増加、肝性脳症を発症したり、血中のビリルビンを胆汁として排泄できないから血中ビリルビン値が上昇して黄疸を呈したりする。
アンモニアが高値になったら吸収低下させるためラクツロース(モニラック)や分岐鎖アミノ酸製剤 (アミノレバン) などが投与される。アンモニアの高値は緊急性が高い

黄疸

血中ビリルビン値が2.0mg/dL以上で眼球(白目の部分)、3.0~5.0mg/dL以上で皮膚に黄疸が出現する。
正常値は0.2~1.2mg/dLである。

ビリルビン

皮膚に沈着して末梢神経を刺激、強い掻痒感を与え、皮膚を脆弱にする。尿中に排泄される量が増えるとビリルビン尿となる。赤血球は脾臓で破壊されヘモグロビンが間接ビリルビンとなる。で、それが血流に乗り肝臓へ行ってグルクロン酸抱合されると直接ビリルビンとなって胆汁に排泄される。教科書に書いてありましたね。


血中に間接ビリルビンが多いということは赤血球の破壊が多い、あるいは肝臓がビリルビンをうまく取り込めないことを示す。
一方血中の直接ビリルビンが多いということはうまく排泄されていない、どこかが詰まっていることを示唆する。

アルブミン

肝機能が低下するとアルブミン合成能も低下する。この量が少ないと水分が血管内に留まれず、血管外に漏れ出る。結果腹水、浮腫となって現れてくる。浮腫を起こした皮膚はスキントラブルを起こしやすい。

胆汁

肝臓で作られる消化液のひとつ。脂肪を乳化して消化・吸収を助ける。消化酵素は含んでいない。主成分はビリルビン。寿命(120日)を終えた赤血球は脾臓で破壊され肝臓に運ばれ肝細胞で代謝されると黄色いビリルビンになるのだ。

このビリルビンは胆汁とともに腸内に分泌されウロビリノーゲンへと還元され再吸収される。ウロビリノーゲンは体内で酸化されウロビリンとなる。このウロビリンが尿(ウロ)とともに体外へ排出される。
だから尿の黄色っぽい色はこのウロビリンの色である。

一方吸収されず腸内に残ったウロビリノーゲンはステルコビリノーゲンに還元され酸化してステルコビリン(茶色)となる。で、便とともに排泄されるので、便の色はこのステルコビリンの色なのだ。

胆嚢

胆管の途中で胆汁を濃縮する袋状の臓器。一部は肝臓について固定されている。長さ約8㎝。柔らかい臓器なので術中に破れてしまうこともある。
胆石、胆嚢ガンなど。

胆嚢を切除すると十二指腸に入った食事に反応して濃縮された胆汁を流すことができなくなるため、油物を食べたとき下痢しやすくなる。

胆管

肝臓から十二指腸まで胆汁と膵液を運ぶ管。十二指腸で膵臓からの主膵管と合流する。
胆管炎、胆管ガン、膵胆管合流異常症など。リンパ節転移や腹膜播種があると胆管切除ができない場合がある。
胆管閉塞には内視鏡(ERCP)でステント留置をする。

胆汁

脂肪を溶かす濃い緑色~茶色の消化液。肝臓で毎日1Lほど生成される。
術後は胆汁を抑制する薬が出るのでそれを踏まえた食事とする。

胆石

胆嚢や胆管内で胆汁の成分が析出、石状になったもの。これが詰まることで炎症が起きる。主成分はビリルビンとコレステロール。無症状の場合と、腹痛や発熱が見られる場合がある。薬物療法、内視鏡的治療(ERCP)、体外衝撃波破砕療法の他、胆嚢摘出術がある。

十二指腸乳頭部

十二指腸で主膵管と合流する地点。

胆道

胆管、胆嚢、十二指腸乳頭部の三つを合わせた部位。

膵臓

胃の後ろにある15cmほどの臓器。膵頭部、膵体部、膵尾部からなる。膵液を分泌する外分泌機能とホルモンを分泌する内分泌機能がある。膵液は800~1,000ml/日も分泌される。膵液にはトリプシンリパーゼアミラーゼなどの消化酵素が含まれる。トリプシンはタンパク質を、リパーゼは脂肪を、アミラーゼは糖質を分解してくれる。
膵液はアルカリ性で胃酸で酸性になった食物を中和する働きもある。
膵炎、膵臓ガン、膵液漏、膵管内乳頭粘液性腫瘍など。

膵炎の原因はなんと言っても飲酒。自身の膵液で膵臓が消化され、膵液が腹部に漏れ出る。膵液は何でも溶かせる最強の消化液(アルカリ性)。それが腹の中に漏れればどうなるか・・・周囲の内臓が大火傷状態になる。
サードスペース✿に水分が逃げ出し、どんどん脱水が進み、10L/日も輸液しなければならないこともある。

✿サードスペース:体内の細胞内でも血管内でもない場所。 手術や外傷で侵襲を受けると生体炎症反応によって血管壁の隙間が大きくなり、普段は血管内に留まっているはずの体液が組織外へ漏れ出してしまうこと。これを透過性亢進という。

ランゲルハンス島 ( islet of langerhans)

膵体部と膵尾部に多くある細胞群。α細胞・β細胞・δ(デルタ)細胞・PP細胞・ε細胞の5種類の細胞からなる。α細胞はグルカゴンを分泌し血糖値を上昇させる。β細胞はインスリンを分泌し、血糖値を上がりすぎないよう調整したり、余ったブドウ糖をグリコーゲンに換えて肝臓や筋肉に貯蔵したりする。

デルタ細胞はソマトスタチン(ブレーキホルモン)を分泌、消化ホルモンやGIP(胃抑制ポリペプチド)を抑制する。
画像で見たい方は顕微鏡観察ラボ→ https://www.keyence.co.jp/ss/products/microscope/bz-casestudy/pancreas.jsp

脾臓

重さ約100g。お仕事は免疫応答、血球破壊、造血機能、血液貯溜の四つ。古い赤血球を破壊し、ヘモグロビンから鉄分を回収する。大量出血や骨髄機能低下のときは造血も行う。運動時、筋肉が大量の酸素を必要とするときには血液を駆出して筋肉に酸素を届けたりもする。

白脾髄と赤脾髄からなる。感染症になると門脈圧亢進により肥大する。残せるなら残したいが、膵臓ガンのリンパ節転移がある場合は脾臓も摘出することが多い。摘出後は血小板が増加するため抗血小板薬が投与される。長期的には免疫力も落ちる。退院してから肺炎球菌などのワクチンを受けた方がよい。

関連情報はこちらにも→ 腸内フローラ:トキシンB、ポリフェノール、CDI、FMTとは?

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