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香道:聞香、香木、六国五味、源氏香、蘭奢待などについてざっくり。

2021/10/09
 
和室
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聞香(もんこう)

incense burner
香炉 (incense burner)

香木を焚いて香りを鑑賞するのを聞香という。香りは「嗅ぐ」ではなく、「聞く」という。
確立したのは室町時代。東山文化の中で花開いた。
特に活躍したのが公家の三条西実隆(さんじょうにしさねたか)と志野宗信(しのそうしん)。

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香(こう)

香木、線香、練香、印香、塗香、抹香、焼香、匂い香がある。

香木と言えば日本香堂か?→ https://www.nipponkodo.co.jp/iyashi/culture/fragrant_wood.php

香木

白檀、沈香、パロサント、ローズウッド(紫檀)など。

印香

梅、扇、紅葉型など。香料を糊で押し固めたもの。熱くした灰の上に置いて薫らせる。

塗香(ずこう)

お寺で写経をするとき配られる細かな粉末のお香。身を清め邪気を祓うとして参拝者や修行の者の手や体に塗ったりご本尊に捧げたりする。

長尺線香

お経を唱えるときや瞑想のため坐禅を組むとき使われる。時間を計るために焚かれる。

練り香

粉末にした香料と炭の粉に蜂蜜、梅肉などを加えて練り上げ、壺の中で熟成させた物。源氏物語に登場するお香(薫き物:たきもの)。

聞き方

目的に合わせて空薫(そらだき)か聞香(もんこう)かを決め、合わせたお香、炭、香炉を用意する。

白檀(サンダルウッド)

ビャクダン科の常緑高木の心材。お香、仏像、扇子などに用いられた。

沈香

ジンチョウゲ科アキラリア属木質部に樹脂が凝結、一定の温度と湿度の地中に埋もれている間に油脂分が変化したもの。
水に沈む。最も高貴な香木。

六国五味(りっこくごみ)

六国(りっこく)とは香木の原産国の地名に因んで6種類に分けたもの。木所ともいう。

  • 伽羅
  • 羅国
  • 真那賀
  • 真南蛮
  • 寸聞多羅(すもたら)
  • 佐曽羅

伽羅の油

伽羅が使われていた訳ではなく、「極上、素晴らしい」という意味の香りが良い鬢(びん)付け油。

伽羅

貴重なものだったので「素晴らしい、素敵な、美しい」などの代名詞だった。元禄時代になると香は公家や武士から一般にも普及してくるが、伽羅までは手が出ない。そこで憧れが褒め言葉の代名詞となった。


「伽羅を言う」はお世辞が巧い、「伽羅女」は美人、「伽羅の御方」は本妻、「伽羅臭い」は分不相応に見栄を張り小癪なさまをいう。
「伽羅富める」は金持ち、「伽羅の下駄」は極上の下駄をいう。遊里では特に大量の香が使われたため隠語で「伽羅」と言った。


遊里で「伽羅代」「伽羅の字」と言えば金銭のことだった。

徳川家康

大の香好きだったため南ベトナムにあった国の王に上質な伽羅(奇楠香)が欲しいと書いて送った。カンボジアやシャム王国にも同様の手紙を出している。彼の死後伽羅と沈香が相当量残された。

駿府御分物帳

徳川家康公の遺産分配記録。南蛮渡来の珍品とともに夥しい量の沈香木が記されていた。

白菊

後水尾(ごみずのお)天皇から銘をいただいた細川家の伽羅木。細川忠興の命 (めい) で伽羅を買いに長崎にふたりの家臣が向かった。
一方仙台の伊達家でも伽羅を欲しがり価格競争となった。「高くなりすぎ実用的でもないから諦めるよう進言しよう」というひとりをあくまで主人の命に従うべきとするひとりが斬り殺してしまった。
伊達家との価格競争に勝ち伽羅を持って帰ったのち、主人に切腹を願い出た。
しかし忠興は忠義を褒め称えた。同僚を殺した罪が重くのしかかり忠興の三回忌に殉死した。
たかが小さな切れっ端なのに、ふたりが犠牲となった。

栴檀は双葉より芳し

大成する人は幼少の頃から優れていることの喩え。栴檀とは白檀。幼芽は香らず香料にするには40~50年かかる。
1本の木でも部分により色も香りも異なる。心材を取り出したものだけが高級香料となる。
ビャクダン科の常緑中高木で30属400種類もある。香木としてだけでなく、蒸留して精油のサンダルウッドとすれば殺菌作用利尿作用がある。
鎮痛、健胃、解熱、食欲増進、黄疸、喀血、あかぎれ、しもやけ、淋病にも効くとされ、薬用に広く使用されている。

印度や中国では万病の妙薬とされる。インドでは穢れを取る香料として粉末を体に塗ったり寺院の建築材に用いたりしている。
「檀」は中国語では「善い木」という意味だが、他の植物にとっていい木ではない。
幼木のときはイネ科、マメ科、アオイ科に、生長するとヤシ類などに寄生し (!) 、根から養分を吸い取って生育する寄生植物である。
鳥でいえばカッコウの托卵みたいなものか、図々しい、いや、生きるための戦略か。

丁字

フトモモ科のチョウジの木の花の蕾を乾燥させたもの。高いものだと20mにもなる。木そのものも芳香を放つ。
蕾のときが最も香りが強いため、深紅色の花が開花する前に摘み取られ、花は滅多に見られない。
昔の日本女性が使っていた鬢付け油はこの香り。

丁字はアルコールによく混じるため石鹸や整髪剤に使われる。
殺菌作用と軽い麻酔作用も持つため歯科医の痛み止めチンキにも用いられた。
古代中国では形が鶏の下に似ていることから鶏舌香とも呼ばれ口臭止めに用いられた。
英語では釘に似ていることから釘を意味するラテン語由来の「クローブ」と呼ぶ。
中世ヨーロッパでは魚や肉の防腐剤として重要。

クローブ

丁字。フトモモ科の常緑高木の蕾を乾燥させたもの。黄色の染料としても使われる。レープクーヘンに遣われる。軽い麻酔・殺菌作用があるため、日本では今治水、殺菌剤、胃腸薬に使われる。

大茴香 (だいういきょう)

shikimic acid
シキミ酸

八角茴香。樒(シキミ)科の常緑樹。スターアニス。星形の実を乾燥させたもの。樟脳に似た野性味ある香りが特徴。
甘さとほろ苦さを持つ。芳香剤、中国料理のスパイス、歯磨き粉の香料に使われる。

茴香(ういきょう)

フランス、イタリアなどで栽培されているセリ科のハーブ。フェンネル

麝香

オスのジャコウジカの分泌物。動物香料。保護法で守られているため高価。

木香

キク科の多年草の根を乾燥させたもの。腹痛・下痢などの不調にも使われる。

貝香

巻き貝の蓋を火で炙りお酒に漬けてまた炙り粉末にしたもの。聖書に出てくるシュヘレテ香ではないかとも言われる。

桂皮(シナモン)

クスノキ科の常緑樹の皮を乾燥させたもの。5~6年の幼樹の皮は桂心と呼ばれる。

胡同律

コショウ科常緑低木の果実を乾燥させたもの。胡椒、ペッパー。中世ヨーロッパでは高価であった。

バルサム

樹脂と精油が混じったもの。

カルダモン

ドイツではクリスマスのお菓子レープクーヘンに香り付けとして用いられる。レバノンではコーヒーに入れる。

スターアニス

日本ではシキミと呼ばれお墓に供えたり線香やお香を作ったりする。星形。

オールスパイス

クローブペッパーとも。ドイツではクリスマスの香り。

ナルドスパイクナード

日本では甘松と呼ばれ、鬢付け油の香り付けに使用される。

乳香

フランキンセンス。古典的な薫香樹脂。黄色い球状になったものはオリバナムと呼ばれる。
最も良質なのはアデン(アラビア半島南西端)乳香。

ミルラ

没薬。黒褐色の樹脂。きつく渋い土の香り。ストレートでは重いので乳香やカルダモンとブレンドする。

市販のインセンス

原料が100%天然でなく香料が強い物がある。ブレンドは細かいほど香りが飛びやすく材料の判別もしにくくなる。
ラッカーが塗られているものなどは焼けると不快な匂いがする。
色づけしてごまかしたものは避ける。気分が台無しになる。

香炉

金香炉(かなごうろ)と土香炉(どごうろ)がある。

匂い袋

箪笥に入れるのは着物にほのかな匂いをつけるほか防虫剤としての役目もある。正倉院にもいくつか保管されている。
腰や帯に携帯したものと思われる長い口紐がついている。和服を着るときはぜひ。

えび香

源氏物語の末摘花の巻に「衣被(えび)のかおり」とあるのは衣類や文書、経巻などを保存する防虫剤の香り。えび香と呼ばれていたものをさす。正倉院には九つのえび香が残されている。

絹製で沈香や白檀、丁字など6~7種類の香料を調合したものが入っている。
防腐効果や殺菌効果がありいい香りがする。
平安時代には防腐や殺菌より衣服に香りをつけるものとして貴族の間で流行した。

衣香(えこう)

衣類に香りを付けて楽しむ香り。えび香の他、衣に焚き染める薫衣香があった。

六種の薫物(むくさのたきもの)

平安時代の薫物。黒方(くろぼう)、梅花、荷葉(かよう)、侍従、菊花、落葉(らくよう)のこと。

追い風用意

人が通った後ほのかに香りが漂うよう、身だしなみとして香を着物に焚き込めておくこと。ほのかな香りでなくてはならない。

香染め(こうぞめ)

糸や布のとき香りを染み込ませる染め方。丁字は黄褐色や黒褐色の染料であると同時に、香気を醸す材料として使われた。

香衣(こうえ)

僧が身に纏う香染めの衣。青、黄色、赤、萌黄の四色。黄褐色を木蘭色(もくらんじき)といい、紫衣に次ぐ勅許の衣で、法然上人源空が後白河法皇に「往生要集」を講じた折、法皇から上人号とともに賜ったのが日本での香衣勅賜の最初とされる。

インドでは香木を煎じた汁で染めたのを木蘭色と言うが、日本では丁字で染めたものを言う。しかし明治以降丁字の入手が困難となったため梅の木染めのものも言うようになった。

一炷聞(いっちゅうぎき)

ひとりで香を聞くこと。「一炷聞は七息を超えず」とされ、香を聞く回数は多くても7回までとされる。

香席のタブー

着物や体に香りをつけて行かない。香料の強い化粧品、整髪料も避ける。直前のたばこも控える。前日の葱やニンニクの食事、酒気帯びでの出席も御法度。床の間の飾りも生花でなく造花を用いる。香を聞くのは三息か五息とする。それ以上は次の人の迷惑となる。

また聞香の最中に隣の人に相談したり一度聞いたのにまた戻して貰い聞き直したりするのも失礼に当たる。
香木を香炉の上に落としてしまったら自分で直さず、必ず香元に直してもらう。また聞き終わるまで雑談は禁物。

組香

テーマに沿って数種の香木の香りを聞いてその異同を判じる競技形式の鑑賞法。平安貴族に流行した薫物合わせがルーツ。
十炷香、宇治山香、源氏香、競馬香、小鳥香などがある。

源氏香

香の図は着物や器の模様にも使われている。5種の香を用意する。炷かれた五包の香りが同じか別かを聞き分け記紙に書いていく。
五本の縦線を書き、同じ香りのものと思えば横線で繋ぐ。
この組み合わせで52通りできるが、源氏物語54帖のうち巻頭の「桐壺」と巻末の「夢浮橋」を除く52帖に当てはめる。
自分の書いた図と帖名を書いて答えとし、正答を見て採点する。五包すべて当てると「」と書かれる。

香筋建(きょうじたて)

火道具を立てておく金や銀、赤銅などで作られた六角形や円形の筒。

執筆が記録紙に組香の様子をしたためるための墨と朱墨両用の硯を親硯、連衆(れんじゅう)の筆記用として五客または十客重ねた硯を重硯という。

香札(こうふだ)

香を聞いた順番を答える札。表には花木草の名前や絵が描かれ、裏には番号が書いてある。
ひとり12枚、十客分がワンセットになったものが一般的。

香木

日本に伝わったのは仏教伝来の頃。

沈香

原木は軽く水に浮くが樹脂が沈着すると比重が増して水に沈むことから呼ばれる。木一本全部が香木ではなく、部分的に香木となるので品質は一定ではない。部位によっても香りに違いがある。

蘭奢待(らんじゃたい)

正倉院に残る沈香。156㎝、最大直径37.8㎝、重さ11.6㎏と巨大な香木。756年に公明皇太后が東大寺に献納したときには13㎏もあった。
歴代の天皇や将軍が手柄のあった者に切り取って与えたため少し少なくなった。
貰った者の中には足利義政、織田信長、明治天皇などもいた。
「蘭奢待」の字に東・大・寺の文字が隠れている。

末枯れ(すがれ)

火末(ひずえ)で香りが変化すること。

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